中国語で「狼性」(Láng Xìng)という単語を知っていますか?
「おおかみ」という漢字が入っているので、第一印象としては、「狼のような性質・性格」のように感じるかもしれません。
はい、おおよその起源は正しいです。
ただし、どのような意味で使われるかは、まだ十分に認知されていません。
本記事では「狼性」の意味と本質について、メモっていきます。
中国語の狼性の意味とは?
「狼性」は中国で生まれた言葉。
「百度」(バイドゥ、Baidu)では以下のように説明があります。
簡単に翻訳してみると、
「狼性」はチームスピリットの一種。
主に革新精神と粘り強さ、闘争心を表している。
集団における危機意識を最適化し、有限または劣勢環境とリソース条件の下で、「狼」同様に自然界での生存と発展を求める手段である。
少しニュアンスが難しいですが、ポイントは「チーム精神」であること。
日本語の「一匹狼」とは真逆ですね。
よって、企業や集団の中で「狼性」という言葉が使われます。
①狼性精神
「狼」のイメージを人間の内面に落とし込んだのが「狼性精神」(Láng Xìng Jīng Shén)。
心、意識、メンタルの状態を形容するものです。
有名企業や経営者が社員に求める要素の1つとして、「狼性精神」が挙げられる場合があります。
「狼性精神」のキーワードは4つ。
中国語では「贪」(Tān)「残」(Cán)「野」(Yě)「暴」(Bào)となります。
- 貪:貪欲
→常に強欲で、力ある限り奮闘・探求し続ける - 残:残存
→困難に直面しても、容赦なく克服し、消滅させる - 野:野心
→精一杯、必死になって事業の開拓する - 暴:暴威
→逆境の中、時には荒々しく、仁慈を捨てて、難関を突破する
今はグローバルの時代。
競争の中でこそ社会・経済を発展させることができます。
「貪残野暴」がなければ、過酷な企業競争で生存できません。
だからこそ、中国で提唱される「狼性精神」に注目が高まっているのです。
②狼性文化
狼性」や「狼性精神」を構成員・社員に浸透させ、行動・思考へと繋げることを「狼性文化」と言います。
主に中国企業の中で見られる、組織文化・企業文化とも置き換えられるでしょう。
先進的な「狼性文化」で最も重要なのがチームワーク。
一人ひとりに「狼性」が無ければ、集団では機能しません。
逃げない・諦めない精神と勇気を植え付けることこそ、企業の発展に不可欠となっています。
②不撓不屈
③献身的なアグレッシブ精神
が社員から滲み出ていて、社内の雰囲気が活力で漲った状態であれば、集団で奮闘する「狼性文化」があると判断できるかもしれません。
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③狼性の特性
大草原では、狼は羊の群れの状況を伺いながら、獲物を捕らえるチャンスを狙っています。
その目は「狼の眼」と言い表すことができます。
ビジネスにおいても、「狼の眼」で市場の動向を見極める能力が大切。
目標・ターゲットを決めてたら、虎視眈々と機会を探ります。
業界の情勢、競争者の動静など常にアンテナを張っておくべき。
八方睨み・飛耳長目(=遠くの事をよく見聞きする耳目。観察に鋭敏なこと)が「狼性」に近い感覚でしょう。
また攻撃性に富んでいて、軽々しく失敗を口にしないのも特徴と言えます。
狼が羊に追いつくと、必死になって噛みつき、簡単には諦めません。
仕留めるまで追い続けます。
失敗などないのです。
さらに決して腹を満たすためだけではなく、如何に素早く射止めるかもが重要なこと。
狼は渾身の力で草原を突っ走っています。
中国市場でも、このようなスピード感が何よりも不可欠です。
チームワークも忘れてはいけません。
競争が激化する業界では、個の力だけだと限界があります。
個人主義・自己中心のイメージが強い中国ですが、「狼性文化」で集団へとシフトしています。
「狼性」の特性を整理すると、
②不屈の精神・ガムシャラさ
③スピード感
④チームワーク
となります。
「狼性」は貪欲で執着心が強い中国企業を象徴するパワーワードです。
④狼性への賛否(良い面・悪い面)
以上のように強調すると、何やらエネルギーが燃え上がってきます。
「世界を変えたい」「ビジネスで成功したい」と思う、高い志がある人たちにとっては、「狼性」は心強い単語に映ることでしょう。
「狼性」の良い面を伝えるとすれば、
- 外部環境の激しい競争やプレッシャーに対応できる
- 企業内部の忠誠心や管理に重要な役割を果たす
- 規律を強化でき、結束力を高める
- イノベーションに向けて集中的なリソースの投入がしやすい
ベンチャー企業やパワフルな組織・会社には適しているかと思います。
一方で、「狼性」の背景から負の一面も浮かび上がってきます。
必ずしも賞賛・受け入れられるとは言い切れません。
「狼性」の悪い面にフォーカスしてみると、
- 食うか食われるか、残酷非情になりやすい
- 目的を達成するためには手段を選ばない
- ルールや人間性を軽視するあまり、企業と社員に文化的な損失を招く
- 疑い深くなり、信頼感が薄れ、精神的な消耗が激しい
などなど。
企業の長期的な発展にとって、「狼性文化」は致命的な毒にもなりえます。
決して最良の思想とは言えないのです。
以前、「阿里巴巴」(アリババ、Alibaba)の創業者・馬雲(マー・ユン、ジャック・マー)が「996」という考えを発し、社会的な注目を集めました。
自らの経験の下、若いうちはガムシャラに仕事に打ち込むべきだ、という意図がありましたが、中国の国民、特に若者から反感を食らい、大炎上したのです。
アリババ=ブラック企業とのレッテルも張られました。
「狼性」も非常によく似ています。
アグレッシブさ、ハングリー精神を重要視していない若者にとっては、批判的な言葉です。
「狼性」はデリケートな言葉になっているのか、組織の長も、肯定的な意味合いで使いことは多くありません。
少数精鋭のチームであれば、「狼性」の思想は共感・共有しやすく、プラスに働くでしょう。
逆に組織が多くなれば、社員のやる気を削ぎ、脱落者を増やす可能性もあります。
難しい側面もありますが、中国国内でジワジワと広がっているのが「狼性」の考え方です。
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