11月11日、「腾讯音乐」(テンセントミュージック、Tencent Music)が第3四半期(3Q)の業績レポートを公表。
全体の数字は絶好調で、売上高、純利益、サブスクリプション収入などが過去最高を更新しました。
中国の音楽業界・市場は大きく変わっています。
何でも無料だと思われていたのは、もう遠い昔の話ですよ。
テンセントミュージックの有料サービス利用者は5,000万人
オンラインミュージック(ストリーミング配信)+ソーシャルエンターテイメント
この2本柱がテンセントミュージックの躍進のカギです。
3Qの売上高は75.8億元(1,200億円)で前期比16.4%増。
そのうち、サブスクリプション(定額サービス)による収入は14.6億元(230億円)で、+55%の伸びを見せました。
財務データによると、有料サービス利用は5,170万人に到達し、全ユーザーの8%とのこと。
逆算すれば、利用者数は6.4億人だということが分かります。
テンセントミュージックは中国の国民の半分が利用している、巨大コンテンツなのです。
テンセントミュージックとは?
名前の通り「腾讯」(テンセント、Tencent)グループの1つ。
でも音楽事業については、あまり知られていません。
好調なゲーム事業や「微信」(ウィーチャット、WeChat)の方が話題に上がりやすいですからね。
テンセントミュージックは以下の4つのプラットフォームで、楽曲を提供しています。
- QQ音楽(QQ Music)
- 酷狗音楽(KUGOU)
- 酷我音楽(KUWO)
- 全民K歌
「QQ音乐」(QQ音楽、QQ Music)は聞いたことがある人もいるでしょう。
少し前までは日本の楽曲を無料で入手できるアプリとして、ニュースにも取り上げられました。
「中国では音楽はタダ」というイメージが植え付けたかもしれませんね。
しかし、著作権、コンプライアンス問題は解消されつつあります。
今では有料が当たり前で、1曲ごとに購入スタイルもすっかり定着しました。
また「全民K歌」はソーシャル性に富んだ歌唱力向上アプリ(練習用としての機能)。
年配の方たちに支持をされていますね。
音楽の有料化&デジタルサービス
一時期、中国で海賊版が占める割合は90%を超えていました。
先駆けはCDやDVDといった現物のコピー製品ですね。
あまりよくない話ではありますが、駐在日本人は結構お世話になっていたかと思います。
有名ミュージシャンのライブや映画DVDは、1枚10元(158円)ほどと格安で手に入りましたね。
悪いことと分かりつつ、ついつい大量購入してしまっていたのでしょう。
インターネットが誕生すると、今度は違法ダウンロードサイトが登場。
中国では、ネットを介した音楽の入手が一般化しました。
のイメージが広まったのは、この頃からです。
フィッシングやハッキングの被害が増えつつも……大半の人は自由に音楽をダウンロードして楽しんでいました。
しかしながら、国自体の存在感が大きくなると、企業および国民の意識に変化が見られ始めます。
きっかけは子どもの教育のために。
ここにはお金を惜しみなく投じるのですね。
合法な手段で音楽や映画を手に入れ、対価を払う。
こんな習慣が徐々に根付いていきました。
ジェイ・チョウの楽曲は3元(48円)~
スマートフォンが登場し、オンライン決済が浸透&課金への抵抗が無くなったのも要因でしょう。
2タップで様々な商品・デジタルサービスが買えるようになりましたから。
国民の価値観は変わっていますよ。
この流れを後押ししたのがテンセントミュージック。
大手レコード会社やプロダクションと業務提携・協力関係を結んで、
- 正規ルートでの楽曲の提供
- ミュージシャンの著作保護
を強化しました。
今ではトップセールス作品の80%もの版権をテンセントミュージックが取得していると言われています。
さらに、オンラインによるサービスは音楽だけに止まりません。
ライブ映像の配信も、今では主力商品の1つ。
新型コロナウイルスの情勢も影響したのでしょう。
家にいながら、アーティストのパフォーマンスを見られるとあって、若者を中心とした新規ユーザーの獲得に成功しています。
音楽とデジタルサービスが上手く融合させた好例ですね。
従来は無料配信+広告収入で成り立っていたエンタメ業界(テレビなど)。
インターネット中心の生活となり、その業態は大きく変革しました。
テンセントミュージックのCEO彭迦信氏は、
と述べています。
テンセントグループが手掛ける、
- 微信(ウェイシン)
- 腾讯音乐(テンセントミュージック)
- 腾讯视频(テンセントビデオ)
はまさに中国版;
- Spotify
- YouTube
現段階では、中国におけるエンタメ業界の王者と言えるでしょう。
長きに渡って居座るチャンピオンのビジネスに、今後も目が離せません。
※本記事は下記サイトを元に構成・翻訳しています。
■参考サイト(中国語)
解密腾讯音乐新财报:音乐赛道只有“长跑冠军”