新型コロナウイルスの拡大が止まらない昨今、遠隔地にて業務を行うリモートワーク/テレワークの導入に伴い、多くの会社がコミュニケーションツールを活用しています。
その1つ、アメリカ発のオンライン/ビデオ会議ソフト「Zoom」(ズーム)はビジネスシーンで不可欠な存在となりました。
中国でも同じような動きが見られます。
巨大テクノロジー企業「腾讯」(テンセント、Tencent)が投入した、その名も「テンセントミーティング」。
ここのページでは「テンセントミーティング」に着目し、その特徴や「Zoom」との違いをメモっていきます。
・「テンセントミーティング」の基本機能が分かる
・無料版と有料版の違いが分かる
・「Zoom」との価格を比較できる
※WeChatを使用したWeb会議/ビデオ通話の方法は↓
1. テンセントミーティングとは…？
中国版LINEの「微信」(ウィーチャット、WeChat)でお馴染みの「テンセント」が、クラウドコンピューティングを使用したウェブ会議支援ツールの提供を始めました。
中国版：「腾讯会议」(テンセントミーティング、Tencent Meeting)
グローバル版：「VooV Meeting」(ウーブミーティング)
中国版は2019年12月25日に本土でいち早く投入されました。
そしてグローバル版は2020年3月より、世界の130以上の国・地域でサービスを開始するとのこと。
公式サイトは以下のリンクから。
「テンセントミーティング」と「VooV Meeting」は基本的には同じもの。
上記の2サイトも中国語か英語かの違いですね。
ロゴも同じです。
では、さっそく特徴を見ていきましょう。
P.S：TikTokでお馴染み「バイトダンス」のツールもあります↓
2. テンセントミーティングの特徴
インターネットアクセス制限の問題か、中国国内では「Zoom」より「テンセントミーティング」の方が利用頻度が高くなりました。
そこで気づいたのが、中国ならではの機能が備わっているということ。
②バーチャル背景
③録画機能
④美顔修正
⑤プチメッセージ
⑥共有ドライブ
⑦WeChat内のミニプログラムでも利用可能
①パソコン、スマートフォンの両方に対応
■対応OS
パソコン：MacOS、Windows
スマートフォン: iOS、Android
上記の公式サイトからソフトウェアをパソコンにダウンロード/インストール。
スマホの場合はApp Store/Google Playからアプリを入手できます。
この辺りは「Zoom」と同じですね。
なお「テンセントミーティング」は今のところ中国語のみですが、「VooV Meeting」は日本語、中国語、英語、韓国語の4ヶ国語に対応しています。
②バーチャル背景
自宅でオンライン会議に参加する際、部屋の様子は映したくないでしょう。
「Zoom」にもありますが、人物と背景を自動で見分け、自分の周りを非表示・変更してくれます。
デフォルトで用意されている素材(自然系)のほか、アップロードした画像を背景に変えることも可能です。
③録画機能
誰が何を言って、何が決定したか。
会議を振り返るのに重宝されるでしょう。
議事録の作成者にとっても嬉しい。
シンプルですが、重要な機能ですね。
④音声のみの利用可能
カメラをオフのまま音声だけの参加が可能。
外出先でも心配ありません。
⑤美顔機能
「会議のためにわざわざ化粧するのは嫌だ」
「画面上の見た目が気になる」
なんて方にもってこい。
美顔機能を使うと、顔の映りを自動修正してくれます。
相手には全体的に肌がキレイに見えるよう。
寝起きでも怖くないですね。
中国らしい機能だと思います。
修正前(左)と修正後(右)、イメージ画像です
⑥プチコメント
ちょっとした遊び心です。
「ニコニコ動画」の弾幕に似た機能です。
軽いメッセージや絵文字などを送信すると、画面の右下に表示されます。
ミーティングを和ませる時などに利用できそうです。
⑦共有ドライブ
リアルタイムで資料の共有、閲覧が可能。
Googleドライブのようなものですね。
またWordやExcelのスプレッドシートを複数人で同時編集もでき、共同作業・議事録作成にも役立ちます。
⑧WeChat内のミニプログラムでも利用可能
スマホにWeChatが入っているなら、「テンセントミーティング」のアプリをインストールしなくてもオンライン会議に参加できます。
[発見]メニューの一番下[ミニプログラム]より起動します。
ただし、会員番号などが必要なようなので、事前に準備など面倒かもです。
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3. 無料版・有料版の比較
上記は全て無料版で体験できます。
このままでも十分すぎますね。
ただし個人でフル活用する場合や、社内全体で導入するとなると、やはりお金を払った方が良いでしょう。
有料版では制限がなくなるのは当たり前ですが、どのくらい違いがあるものなのか。
「テンセントミーティング」と「Zoom」を簡単に比較していきます。
①無料版
テンセントミーティング
・1vs1のミーティングは時間無制限
・3人以上は最大45分間
・最大25人まで同時に参加可能
・ミーティング会議の管理機能
・高画質/高音声
Zoom
・1vs1のミーティングは時間無制限
・3人以上は最大40分間
・最大100人まで同時に参加可能
・ミーティング会議の管理機能
・プライベート/グループチャット
グループミーティングの参加人数以外は、どちらも大差はありません。
「Zoom」でも基本機能は無料で利用できます。
美顔修正やプチコメントなどを楽しみたい方は「テンセントミーティング」がオススメです。
「テンセントミーティング」の機能
画像は「VooV Meeting」のもの
②有料版
テンセントミーティング
A. プロ向け(月額99元~)
・3人以上も時間無制限
・動画にウォーターマーク(透かし)を追加可能
・最大100人まで同時に参加可能
最大25人：99元/月
最大50人：199元/月
最大100人：399元/月
B. 企業向け(価格は要相談)
・最大300人まで同時に参加可能
・1vs1の専属カスタマーサービス
・社内専用の連絡網/社員管理
・クラウドミーティング
Zoom
A. プロ向け(月額14.99ドル~)
・3人以上は最大24時間
・最大100人まで同時に参加可能
・小規模チームに最適
B. ビジネス向け(月額19.99ドル~)
・最大300人まで同時に参加可能
・専用電話サポート(英語のみ)
・中小企業に最適
C. 企業向け(月額19.99ドル~)
・最大1000人まで同時に参加可能
・専属のカスタマーマネージャー
大まかな金額と制限人数を主に比較するため、一部の記載を割愛しています。
両者を見比べると「Zoom」の方が割安の印象です。
やはり後発の「テンセントミーティング」だと有料版で差が出しにくいのかもしれません。
「Zoom」の料金表
ただし、ここで朗報です。
(厳密に考えると、嬉しいニュースとは言えないかもですが……)
「テンセントミーティング」では現在、無料版でも最大300人、時間無制限のオンライン会議が利用できるようになっています。
また「VooV Meeting」はプロ向けの機能も無償開放しています。
Since January 24, 2020, VooV Meeting has and will continue to make available the features of online conferencing with up to 300 attendees and unlimited meeting duration till the end of the novel coronavirus outbreak.
Just open the app, then you can try out all these features.
(2020年4月24日時点)
Tech for Good, Boundless Collaboration
VooV Meeting is free to the public during the COVID-19 outbreak to help enterprises stay connected while working remotely. The service supports up to 300 participants. It offers secure, reliable, convenient and cloud-based HD conferencing services so you can host or join video meetings at anytime and anywhere.
(2020年9月1日時点)
「VooV Meeting」公式サイトの声明
期限は新型コロナウイルスが収束するまで(やや抽象的……)
プロモーションの一環かもですが、企業にとって試しに導入してみる良い機会かと思います。
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いつもアメリカの2番煎じと揶揄される中国企業ですが、時代の変化を見据えつつ、一気に参入させるスピード感は目を見張るものがあります。
「Zoom」は2013年1月生まれ。
「テンセントミーティング」は順番的には、「中国版Zoom」と呼ばれるかもしれません。
それでも先に中国本土でのユーザー数を確保することで、グローバルでの展開を狙っているのでしょう。
「働き方改革」&リモートワークの環境整備が進んでいる中、日本でも注目されるツールになると思います。
