ここ1ヵ月、台湾出身の歌手・周杰伦(ジェイ・チョウ、Jay Chou)の名がショートムービーアプリの「快手」(Kuaishou)と「抖音」(Douyin、TikTok)で頻繁に登場。
1人の偉大なスターを巡って激しい競争がみられます。
一方、当事者にとっても都合がいいこと。
二台巨頭が持つプラットフォームの力と音楽のトラフィックを、誰が見逃せるというのでしょうか。
5月29日、ジェイ・チョウは「周同学」というID名で「快手」のアカウントを開設、ファン(フォロワー)1,000万に
ライブ配信を解禁すると約束しました。
すると翌日、「快手」はジェイ・チョウのレーベル「JVR Music」と著作権に係る提携を正式に発表します。
これらはプロモーションの付箋ともとれる動きで、ファンの熱は高まってきました。
6月12日に新曲「Mojito」がリリースされると、「快手」で二次作品を含む多くのショートビデオがアップされます。
ユーザーによるカバーやダンスなどは大きな話題となり、同曲の音源を使用した人数は23.2万人、関連動画は1,200、MVの視聴回数に至っては5,550万回を超えました。
ただし、これだけがジェイ・チョウの価値を測る物差しではありません。
「快手」とのコラボを発表以降、過去の作品の再生回数は3億回を突破。
#杰伦粉丝报道#、#一人一首周杰伦#の2つのハッシュタグが付けられた創作ムービーは73.2万を数え、往年の楽曲も平均で数十万の作品にて使用されています。
ジェイ・チョウ及び彼の音楽が、急速なユーザー拡大と音楽プラットフォームの構築に一役買っていることは明らかでしょう。
では、「抖音」はというと、ジェイ・チョウの公式アカウントは無いものの、「Mojito」の使用権は手に入れています。
こちらもユーザーによる二次作品が瞬く間にバズりました。
「抖音」によると、関連ショートムービーの総再生数は177.9億に達し、コンサートや過去のMVからインタビューまで、幅広い内容が拡散されているといいます。
ジェイ・チョウは「Mojito」のプロモーションのために、「快手」「抖音」と合わせて、「腾讯」(テンセント、Tencent)が提供する「QQ音乐」(QQ音楽、QQ Music)でもMVを公開・販売させました。
「QQ音楽」ではリリース後の3日間で416万本の売上を記録し、ランキングトップに。
他者を引き寄せない圧倒的な存在感を見せています。
ただし、前作と比べると少し見劣りするかもしれません。
「五月天」(メイデイ、Mayday)のボーカル・阿信とのコラボが話題となった「说好不哭」は、リリースから30分で200万本を「QQ音楽」で売り上げました。
直接的な比較は難しいものの、「Mojito」の音楽性も含めて、やや控えめだと言えるでしょう。
事実、初動はまずまずでしたが、SNSによる影響力や爆発性は欠けていて、人を惹き付けるパワーが足りないように感じます。
話題も長くは続かないかもしれません。
また著作権を複数のプラットフォームで使用許可したのも、戦略的な損失がみられます。
1曲3元(45円)で売られている音楽のMVは、「快手」や「抖音」のみならず、「哔哩哔哩」(ビリビリ、bilibili)でも無料で視聴が可能です。
コアなファン以外のアクションとして、まず先に3元を支払う必要はないでしょう。
それよりはショートムービーを観て、コメントを残し、「いいね」を押す。
これが健全な行動だと思います。
「無料」のショートムービーと「有料」の音楽の間には、大きな障壁が依然として存在していることを忘れてはいけません。
「Mojito」を「快手」や「抖音」で触れた後、「QQ音楽」のアプリを開き、実際にフルコーラスの曲を購入する人は、一体何人いるのでしょうか。
現段階で全てのミュージシャンやアーティストが受け入れられているわけではないですが、世間に広める近道の一つとして活用され始めているのは事実。
中国国内の著作権に関しては成熟しておらず、楽曲の販売とライセンスの間にも解決すべき問題も多いですが、渾身を込めた作品を「神曲」にできるかどうかは、これらのプラットフォームの
※本記事は下記サイトを元に構成・翻訳しています。
■参考サイト(中国語)
以周杰伦之名,快手VS抖音:短视频巨头们的版权平局