日中翻訳者になりたい。
在宅ワークで翻訳の仕事をしたい。
独立してフリーランスになるには、どのくらいの期間が必要?
そんな目標や悩みを持ちつつ、将来的に中国語を活かした仕事の道を究めたい日本人の方へ。
このページでは中国語→日本語の翻訳者(日中翻訳者)になるためのロードマップをメモっていきます。
・中国語を習得する術が分かる
・日中翻訳者への道筋がイメージできる
・フリーランスだけでない選択肢が見える
【中国語→日本語】フリーランス翻訳者になるためのロードマップ
ゼロから中国語を勉強した場合、(フリーランスの)翻訳者として飯を食べられるようには、最低10年かかります。
はい、10年ですね。
インターネット広告などで、
- 1年で翻訳者になれるは大嘘
- 1日10分でOK
- 年収1,000万円も夢じゃない
というのは大嘘です。
中国語に限らず、翻訳ではそんな簡単に稼ぐことはできません。
このような詐欺に引っかからないよう、まずは肝に銘じておきましょう。
と前置きした上で、ここでは中国語を日本語への翻訳を仕事にするためのロードマップを示します。
逆のパターン(日本語→中国語)は、ネイティブでない場合はかなりハードルが上がるので、目指すのはやめましょう。
また会話を介する通訳についても、別スキルになるため、ここでは触れません。
あくまで中国語→日本語をベースに話を進めていきます。
具体的なプランと期間ですが、
②中国語を活かせる企業に就職する:3~5年
③翻訳コーディネート会社に登録する:1年
④通訳案件の友人(提供者)とのコネを作る:1~3年
⑤会社を辞める→フリーランス
大きく5ステップに分けてみました。
中国語の能力を最低限のレベルに押し上げるには、実務を加えて5年以上は必須。
+αで経験を積んで、翻訳者として自立することができます。
以下より1つずつ中身を解説していきます。
①中国語をマスターする:最低3年
まずは言語の習得から。
中国語を勉強する方法として、
- 学校で学ぶ
- 独学で学ぶ
- 留学して学ぶ
などが思い浮かびますね。
「学校で学ぶ」はいわゆる日本の語学学校、大学の専攻などを指します。
最近では家にいながら、オンラインで学習する環境も整備されてきました。
外出することなく、ネイティブ講師から指導を受けることができます。
「独学で学ぶ」はテキストを買い込んで、コツコツ勉強するパターン。
正直、効率的とは言えず、スピーキング・リスニング能力は身につきません。
ただし、翻訳に必要な文法や単語は一人でも学べます。
「留学して学ぶ」は中国に飛び込んで、現地で生活しながら習得する方法。
生の中国語に触れつつ、異文化理解にも繋がり、最も早くレベルアップできます。
物価が低い都市なら生活費を抑えられ、日本の学校よりもコスパが良いでしょう。
結論として、
独学(5年~)<<<<<日本の学校(4年)<中国へ留学(3年)
で留学がベストの選択です。
独学のみで翻訳者のエキスパートになるには、無理がありますね。
日本の学校で学んだとは言え、結局は一度現地の実践を通じて、中国語を鍛え上げることになるかと思います。
②中国語を活かせる企業に就職する:3~5年
HSK(漢語水平考試)の6級をパスできるくらいの能力を身に付けたら、次は中国語を使える会社に就職です。
何の実務経験がない状態で、フリーランスになることはできません。
まずは社会で揉まれながら、自分の語学力に磨きをかけていきます。
一番良いのは日本に進出している中国企業でしょうか。
上司・同僚が中国人&社内で中国語を使う機会があって、恵まれた環境ですので。
このような会社で働くことで、様々なメリットが得られます。
翻訳ノウハウが身につく
未経験の場合、最初は日本語が中心の業務になるかもしれません。
ですが、仕事を通じて中国語に触れる中で、
- 専門用語が分かる
- 翻訳ツールの使い方を学べる
- 上司・同僚からビジネス中国語を吸収できる
などなど、今後に役立つノウハウが手に入ります。
個人では決して得ることができない経験ですよね。
翻訳に必要なスキルは全て会社に属しながら身に付けます。
翻訳量に関わらず、安定した給与が確保される
在籍期間が長くなると、ちょくちょく簡単な翻訳(中国語→日本語)を任されるでしょう。
いよいよ実践が始まります。
会社勤めのメリットは、お金をもらいながら、語学力を伸ばせるところ。
学校・留学で「お金を払いながら、中国語を学ぶ」ではないため、一石二鳥ですね。
フリーランスでは、一般的に単価契約。
翻訳量および文字単価によって、報酬が決まるのです。
一方、会社員は基本的に給与が安定しています。
少ない文字数でも報酬は変わりません。
勤務時間の縛りはあるものの、「翻訳見習い」には申し分ない条件でしょう。
1次翻訳やチェッカーなどステップ・役割が幅広い
翻訳の業務は、
- 原文から日本語にする作業する人(1次翻訳者)
- これをチェックする人(チェッカー)
- 最終的に確認する人
な役割が異なる人々で構成されています。
1人のみで完結する仕事ではありません。
企業に属すると、この一連の流れを理解できると共に、各パートの担当を通じて、様々な能力を伸ばすことができます。
おそらく、チェッカーから経験を積むことになりますが、中国語(原文)の把握力と同時に、日本語の表現力・作文力も必要なるでしょう。
幅広く翻訳の仕事に携わるのが最大のメリットとも言えます。
とここまで書いておきながら、そんな会社を探すのは簡単にいかないかもしれません。
なので、社会経験がない場合は、純日本企業で就職するのもアリです。
一通りのビジネスマナーを備えた後、中国語を活かせる会社を探せば良いかと思います。
③翻訳コーディネート会社に登録する:1年
ここからが翻訳力を活かす第一歩。
翻訳コーディネート会社=翻訳を依頼したい企業と個人・フリーランスの翻訳者を繋ぐ会社
に登録しましょう。
②の会社にいながら、副業の始まりです。
まずは週末などで小さな案件をこなしつつ、外との繋がりを増やしていきます。
目的は小遣い稼ぎではなく、実績&信頼作りですね。
この2つがなければ、誰も仕事を振ってくれませんので。
ただ条件として、①と②で計7~9年間は積み重ねておかないといけません。
十分な経験が無ければ、コーディネート会社から案件テストやトライアルの機会すら与えてもらえないでしょう。
クオリティが低かったり、納期を守れなかったら、即アウト。
外の世界は、思った以上にハードです。
もしくはフリーランス求人サイトに登録してしまうのもアリかも。
簡単に登録でき、かつ大小様々な翻訳案件が見つかると思います。
・ランサーズ
が超有名でフリーランスの翻訳者は殆ど利用していますね。
でも、いきなり独立するのは論外。
今ある収入源で保険を確保しつつ、副業で更なる実績を作っていきましょう。
④翻訳案件の友人(提供者)とのコネを作る:1~3年
今更ながら、ボクはゲーム業界で中国語→日本語の翻訳業務をしています。
何度か転職していて、ゲーム会社は今が3社目ですね。
ゲーム関連の業界は、人の移り変わりが激しい一方で、かなり狭め。
新たに出会った人が、実は友人の友人だった、というのも珍しくありません。
長く関わるほど、自然と知り合いも増えていきます(すごく多いとは言えませんが)。
なので、翻訳案件を個人的な繋がり(コネ)から得ることも。
ボクも中国人の友人から何度か依頼を受けました。
コーディネート会社と介さず、企業と個人がダイレクトに結ばれたパターンですね。
ここに辿り着くには、
- 中国人の知り合いを数名もつ
- 華僑のコネを活かす
- お互いに状況を理解している関係性
- すでに築かれた信頼関係
- コミュニケーションストレスがない
- 納期などの融通が利く
- 友人にもメリットを与える
などのキーワードで成り立ちます。
よって、兎にも角にも、特に中国人の友人を作っておきたいところです。
⑤会社を辞める→フリーランス
副業で定期的な案件が来始めたら、独立の準備です。
安定した収入を確保するには、
- 友人から仕事をもらう
- 前企業から仕事をもらう
- 単発より長期で契約
- 単価を上げる
が必要。
でも口で言うのは簡単ですが、そうそう上手く回りません。
というか、ボクは翻訳者一本のフリーランスにはリスクは高いと思っています。
オススメしない理由はいくつかあって、
- 翻訳者は不安定で、精神的に辛い
- 仕事をしない→収入ゼロ
- 土日祝日も翻訳対応(実働時間は長くなる)
- 納期に振り回される
- 結局は楽して稼ぐことはできない
他の翻訳者さんも同じようなことを口にします。
場所を選ばす、自由気ままに働けるイメージではありませんよ。
③や④で相当優待された条件でなければ、フリーランスの厳しいかと思います。
翻訳実績を重ね、各方面のコネや人脈を広げ、その業界で名を馳せるようになって、初めて一人前のフリーランスとして活躍できます。
その過程はかなり過酷なので、ボクは翻訳という仕事を、複数ある収入源の一つに留めています。
もちろん、今の会社に留まったままで(現在のところ)。
将来がどうなるかは全く分かりません。
ただ1つ断言できるのは、中国語⇔日本語の翻訳・通訳の仕事は今後も増えるということ。
むしろ既に人材不足が深刻化していますから。
あともう一度、「簡単に翻訳者になれて、誰でも1000万円稼げる」は詐欺です。
毎日コツコツと地道に勉強して、中国語のスキルを高めましょう。