四川人不怕辣,湖南人怕不辣
という言葉がある。
「四川人は辛い料理を怖がらないが、湖南人は辛くない料理を怖がる」
四川省成都市のクライアントを訪れると、必ずと火鍋屋に連れていかれる。
火鍋=Hot Pot
で、鍋料理ですね。
日本で鍋と言えば寄せ鍋、すき焼き、キムチ鍋と季節や食材によって色々な味を楽しめます。
しかし、四川省は一択。
舌が痺れる辛さ「麻味」とヒリヒリする辛さ「辣味」が合わさった、麻辣=マーラーのみ。
濃度は何段階か調節できますが、
微辣→中辣→超辣→激辣……
と懲りも懲りずに、ただただ辛さが強くなるだけ。
ちなみに、微辣でも少し口に入れただけで汗が流れ出て、止まらなくなるでしょう。
スープ(底料、diliao)の材料は、
牛脂1200g、サラダ油500g、郫県豆板醤500g
四川唐辛子(子弾頭辣椒)200g、獅子唐辛子50g
生姜10g、ねぎ5g、ニンニク5g、花椒3g
にスパイスや漢方薬剤を少々。
火を通した唐辛子などに水を加えれば、見るからに辛そうな赤黒スープが出来上がります。
沸騰したスープに肉や魚介、海藻に豆腐と鍋に投入していきます。
赤い飛沫で火傷をしないように気を付けて。
煮立った具は、「油碟」に付けて召し上がれ。
「油碟」はタレ。
その名の通り油っぽいですが、血行を促進して食欲を高める効果があるらしい。
お好みでパクチーや胡麻、おろしニンニクを添えましょう。
しかし、海鮮っぽい香りと味付けが苦手なボクは、生理的に受け付けませんでした。
スープの熱さと辛さが混じ合うと、それはそれは、口の中がパニックになります。
水を飲んでも痛みは治まらず、唇がどんどん腫れていきました。
さらに花椒の成分によって口全体の感覚が麻痺状態。
ここまでくると、もはや食事どころではありません。
四川人は「美味い、美味い」と言いながら口に動かしますが、ボクにとってはどれも一緒。
味覚を失った状態では、何を食べても食材が持つ本当の味が分かりません。
それはイコール、何が美味しいのかが理解できないということです。
(逆に何が美味しいのか知りたい)
ただただ、辛くて痛いだけ。
次の日にはトイレに籠りっぱなしになりますし……。
衣服に染み付いた油の香りも強烈+口内の皮膚が剥がれ全治3日のおまけ付き。
率直な感想は、当分は、
「もう二度と食べたくない」
というか、
「もう二度と見たくない」
というか、
「匂いすら嗅ぎたくない」
いわゆる「無理ゲー」です。
麻辣火鍋を料理と呼べるか、ボクには判断できかねますが、辛い料理は怖いです。
もっと自分の味覚を大事にしたく、刺激的な食べ物は控えようと心に誓ったのでした。
※食後の症状には個人差があります。