「文章の中に、複数の否定形が出てきた……」
「二重否定の文章の意味を知りたい」
「否定をさらに否定する文章を作りたい」
そんな悩みを解決します。
中国人とのコミュニケーションの中で、「不是不…」「不能不…」「没有不…」のように否定形が続く文章に遭遇することがあります。
いわゆる二重否定という文法です。
一見するとややこしく、複雑そうですが、本稿を読めば心配ありません。
話し手の意図がきちんと分かるようになります。
このページでは中国語の二重否定の種類や意味を、例文を添えてメモっていきます。
・二重否定の種類や意味が分かる
・否定形を使った幅広い文章を作れる
・二重否定→肯定文に置き換えられる
1. 中国語の二重否定の種類と意味
文章の中に2つの否定形・否定詞が用いられる文章を、二重否定と言います。
意味合い的には、マイナス×マイナス=プラスで肯定文とほぼ同じ。
しかしながら、必ずしも完全に肯定する内容とはなりません。
二重否定は、話し手の強い願望や感情、または弁解を表す時に使われるのが一般的です。
本章では5種類の文法とそれぞれの意味を紹介します。
二重否定①:不是不…
「…でないわけではない」の意味。
「不是不…」 の後には動詞や形容詞が続きます。
この形は単文では終わらず、後に理由を付けた説明を補足するのが一般的です。
二重否定②:不 +「助動詞」+ 不…
「不能不…」「不得不…」「不会不…」の形で、
不得不…:…せざるを得ない
不会不…:…しないわけはない、きっと…するだろう
の意味。
後ろには動詞が続きます。
回りくどい言い方に感じるかもですが、使ううちに慣れていくかと思います。
二重否定③:没有…不…
会話にて頻繁に目にする文法。
弁解(言い訳)を表す際に使います。
訳し方は様々ですが、「…とは言っていない」のようなニュアンスです。
また「没有」の後ろに「人」を置いて、「没有人不…」の形になると、「だれでもみんな…」の意味になります。
二重否定④:不 +「動詞」+ 不行
この文型で「…しなければならない」の意味。
助動詞が来る場合と同じだと考えればよいでしょう。
不来不行:来なければいけない
不办不行:やらなければならない
などが代表的です。
二重否定⑤:非 +「動詞」+ 不可
二重否定④と同じく「…しなければならない」ですが、語気は非常に強め。
「必ず…すべきである」と説得の気持ちが込められます。
非来不可:必ず来るべき
非办不可:必ずやるべき
といった具合で、前記と比較しやすいかと思います。
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2. 中国語の二重否定の例文
では、二重否定の文章を作っていきます。
例文①:不是不…
「不是不…」で「…でないわけではない」の意味となります。
他不是不努力
彼は努力をしないわけではない
とりあえず、単文の例です。
「不努力」(努力しない)を否定しており、言い換えると「彼は少なからず努力している」と訳せるでしょう。
不是不能参加,而是不想参加
参加できないのではなく、参加したくない
「不是…而是…」の構文です。
前半は否定形が来るパターンです。前半は「不」(否定形)が連続していますが問題ありません。
しっかりと自分の意思を相手に伝えましょう。
你不是不能喝酒了吗?
君はお酒を飲めないんじゃないの?
こちらは「不是…吗?」の付加疑問文。
反語の形で意味を強調したり、念を押したりするときの用法です。
(以前は飲めないと言っていったのに)「お酒を飲めるの?」の感情が込められています。
例文②:不 +「助動詞」+ 不…
「不能不…」や「不得不…」は「…しなければならない、…せざるを得ない」、「不会不…」は「…しないわけはない」の意味です。
这个时间小孩子不能不睡
この時間は子どもは寝なければいけない
一見すると遠まわしの表現に感じるかもしれません。
「起きていては(寝ない状態は)いけない」ので、「寝なければいけない」になります。
我不得不减肥
ボクはダイエットをせざるを得ない
「不得不…」で「…せざるを得ない」の意味。
状況に迫られ、やむを得ず行動すべきことを二重否定で強調しています
今天的比赛非常重要,他不会不来的
今日の試合はとても大切なので、彼は来ないはずはない
「不会不…」で「…しないわけはない」(=きっと…する)。
「きっと彼は来るだろう」とも言い換えられるでしょう。
文末には「的」を置き、断定した言い方にする形が良く見られます。
例文③:没有…不…
「没有…不…」は弁解(言い訳)を示す表現であるため、この辺りを意識して例文を見てみましょう。
妈妈没有说不让小孩子玩游戏
母親は子どもにゲームをさせないことはない
やや湾曲な言い方に聞こえるかもしれません。
訳し方を変えると「多少はゲームをしてもよい」といった具合です。
我没有说不想去
行きたくないとは言っていない
非常にシンプルで難しくはないでしょう。
前述の例文のように「而是…」の構文で理由を添えることも可能です。
这个新闻没有人不知道
このニュースを知らない人はいない
「誰もが知っている」ということ。
「没有人不…」は非常に使いやすい文法です。
例文④:不 +「動詞」+ 不行
意味は「…しなければならない」で、助動詞が来る場合と同じです。
新年大促销我们不去不行
新春大セールに行かなければならない
直訳すると「行かないわけにはいかない」です。
二重否定は日本語でも分かりにくく、慣れが必要かなと思います。
全国大受欢的这部影片不看不行
全国でヒットした映画を見ずにはいられない
注目の映画を抑える時の台詞です。
「見なければいけない」の表現を変えて「見ずにはいられない」にしました。
今天能做的事, 今天不做不行
今日できることは、今日しなければいけない
とても大切なこと。
必ずや、この一言を使う機会が将来あるでしょう。
例文⑤:非 +「動詞」+ 不可
語気が強めで「必ず…すべきである」の気持ちが込められます。
明天有纪念活动,聚会你非来不可
明日は記念イベントがあるから、必ずパーティーに来てください
絶対に外してはいけない大切なイベントなので、強引に誘う時は「非来不可」と言います。
仲が良い者同士であれば「ぜひ来てくださいね」くらいの受け取り方でしょうか。
你答应了别人,非做不可
約束したのだから、必ずやらなければならない
「不做不行」に代用できますが、↑はもっと強めの表現。
何があってもやり遂げるべき、ということが伝わります。
为确保项目的成功,我们非努力奋斗不可
プロジェクトを成功させるために、私たちは努力をしなければなりません
「努力奋斗」は「懸命に奮闘する」の意味。
目的のために努力を惜しんではダメです。
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中国語の二重否定のおさらいです。
2つの否定形・否定詞が用いられる文章で、意味合い的には肯定文とほぼ同じ。
話し手の強い願望や感情、または弁解を表す時に使われる。
- 不是不…
→「…でないわけではない」の意味。 - 不 +「助動詞」+ 不…
→「不能不…」「不得不…」「不会不…」の形。 - 没有…不…
→ 弁解(言い訳)を表す。 - 不 +「動詞」+ 不行
→「…しなければならない」の意味。 - 非 +「動詞」+ 不可
→「必ず…すべきである」と説得の気持ちが込められる。
二重否定は、はっきりと意見を述べにくい場合などにも用いられ、何を言いたいか掴みづらいのが難点。
ただ、ストレートに表現するよりも言葉に含みを持たせることができる、という効果もあり、コミュニケーションで役立つ場面は少なくありません。
またHSKの試験でも出題される文法です。
忘れずに覚えておきましょう。