中国のコンビニやスーパーマーケットで必ず目にする飲料水があります。
ラベルには「元気森林」とあり、日本人でも馴染みやすい名前。
一見、日本の会社かなと勘違いするかもしれません。
種類的には炭酸水、お茶、フルーツ飲料水、コカ・コーラなどの大手企業にも負けない存在感を示しています。
旅行や出張で訪れた際、街中の至る所で「元気森林」の文字を見かけるでしょう。
飲料ブランド「元気森林」が中国で成功している理由と戦略
「元気森林」は、2016年より市場に出回っている飲料ブランドで、
- 糖質ゼロ
- 脂質ゼロ
- カロリーゼロ
の「3ゼロ」を前面に押し出しています。
販売元は北京を拠点とする元气森林食品科技集团有限公司。
時価総額は140億元(約2,230億円)に及びます。
設立から4年あまりですが、もはや国民で知らない人はいない、中国を代表する企業へと登り詰めました。
まさに乗りに乗っているベンチャー企業とも言えますね。
なお、中国語では「元气森林」と書き、簡体字でも分かりやすい名前。
英語名も「GENKI FOREST」で、そのままですね。
では、なぜ「元気森林」が短期間でここまで成長することができたのか。
キーワードは以下の3つです。
②メディア&プラットフォーム広告
③ターゲットは若年層
これらを1つずつ、ざっくりと読み解いていきましょう。
①商標ブランド
↑は「元気森林」の広告。
所々に日本語が併記されています。
ロゴや書体もパッと見、日本っぽい感じですよね。
中国人のみならず、日本語が多少わかる外国人も、ついつい手が伸ばして確かめたくなるかも。
そんな心理を突いて、ネーミングされました。
といったイメージを利用しているのでしょう。
ですが、完全なる中国企業の商品です。
このようなスタイルは、現地では「日式」(日本風)と呼ばれています。
- 日式料理(日本風レストラン)
- 日式按摩(日本式マッサージ)
- 日式カラオケ
別に怪しいお店ではありませんよ。
「元気森林」も便乗している感は否めませんね。
今やパクリとは言われなくなった「MINISO(名創良品、メイソウ)に近い手法とも言えるでしょう。
このような形で「元気森林」ではブランディングの形成を進めています。
すでに商標登録がなされていて、消費者への認知度も高まりました。
まさに商品ブランドの確立が、戦略の重要な柱の1つとなっているのですね。
なお、前述の元气森林食品科技集团有限公司は、「元気森林」他にも日本らしいロゴ・商標を保有しています。
- 気
- 燃
- 濃
- 八勝
- けしき
- 江戸茶寮
- 北海牧場
- 黒沢咖啡
我が国を意識しているのは明らか。
とはいっても、悪い気はしません。
中国企業に頼られる(⁉)ほど、日本の良いイメージは世界でも健在と言うことなので。
②メディア&プラットフォーム広告
「元気森林」の広告戦略は常に強気。
創業者の唐彬森氏いわく、
そう。
実際ボクも中国に住んでいた際、オフィスビルのエレベーター、バス停、地下鉄、タクシー内と人が移動する殆どで広告を見かけました。
やはり①商標ブランドの周知と、販売促進も非常に大切なことだと分かりますね。
またスマートフォンのアプリ・SNSを軸に、オンライン上での集客も目立ちます。
- 微信(WeChat、中国版LINE)
- 微博(Weibo、中国版Twitter)
- 抖音(Douyin、中国版TikTok)
- 小红书(小紅書/RED、中国版インスタ)
「元気森林」はこれらの巨大プラットフォームにて各アカウントを開設。
情報発信をしたり、プロモーション活動を行ったりしています。
「微博」公式アカウント
「抖音」公式アカウント
さらに、最近主流となっている中国のインフルエンサーKOL(Key Opinion Leader)を活用したマーケティングも見られます。
例えば、「小紅書」では、以下のように生配信で商品を紹介していました。
簡単に言うと、ライブコマースですね。
知名度があり、モノを売るスキルに長けているKOLを起用し、売り上げを伸ばしています。
ちなみに今年の「双11」(ダブルイレブン、11月11日に行われる中国最大のオンラインショッピングイベント)では、「天猫」(Tmall、淘宝(タオバオ)同様、アリババグループが運営するオンラインモール)と「京东」(JD)のそれぞれで、飲料部門の売上1位を獲得しました。
飲食店とのコラボを行うなど、活動範囲が広さも「元気森林」の強み・戦略の1つと言えるでしょう。
③ターゲットは若年層
上記のSNS戦略からも分かる通り、「元気森林」のメインターゲットは若者です。
- 流行に敏感で、発信力が高い層
- 健康志向の独身の若者
- 一人飯のお供に「元気森林」を
この辺りがキーポイントと言えるかもしれません。
「元気森林」のマーケティング担当者も、
向けにプロモーションを行っていると述べていました。
ちなみに先ほどの「小紅書」の画像は、平日のお昼時に行われていたもの。
昼食を摂りつつ、スマホをイジるタイミングを見計らっています。
非常に興味深い試みかなと感じますね。
昨年、中国国内での小売業総売上が初めて40兆元(640兆円)を突破。
2015年比で42%伸びました。
この数字はアメリカを抑え、堂々の世界一。
中国が巨大マーケットであることを、改めて認識させられる数字ですね。
人口比率的にもアッパーミドルクラスは増加傾向で、今後も消費は活発になります。
これに倣って、「元気森林」をはじめとした国内ブランドも、さらに成長・拡大し続けていくことのでしょう。
※本記事は下記サイトを元に構成・翻訳しています。
■参考サイト(中国語)
“元气森林”们的核心竞争力在哪里?