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【ほんやく通信】中国メディアが見る日本のガラパゴス化とガラケー事情

ガラケー CHINA NEWS
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スマートフォン市場は既に成熟し切った感があります。
街中を歩いていても、キーパッド型の携帯電話は見かけなくなりました。

しかし、一衣帯水の日本だけは、少し状況が異なっているようです。

周りを見渡せば「ガラパゴス化」した日本式の端末が目に飛び込んでくるでしょう。
「ガラパゴス化」とは、特定の場所・環境下で独自の進化を遂げるという意味です。

日本におけるビジネスや文化では、比較的起こりがちな現象とも言えます。
日本人の目に映る「常識」は、他国にとって理解しがたことも多々あります。

良く例として挙げられる「折り畳み式」の携帯電話が、まさにそれ。
iPhoneが市場シェアを獲得してもなお、手放すことができません。

ガラケーが馴染んだ理由とiモードの登場

歴史的に見ると、折り畳み式を最も早く投入したのが日本。
1991年、NTTドコモが「超小型の携帯電話」シリーズとして同機種を販売したのが始まりです。

当時はまだ、携帯電話は富豪の娯楽品、もしくは通信機器の一つに過ぎませんでした。
ところが21世紀を迎えると、コストが下がるにつれて、端末の価格も手頃なものとなり、新たな生活ツールとして普及したのです。

ガラケーのイメージ

では、フラット型の携帯電話が主流だった時代に、なぜ折り畳み式が爆発的なブームとなったでしょうか。

諸説はいくつかありますが、

・ディスプレイをカバーできる設計がプライバシーに敏感な日本人にフィットしたこと
・ショートメールを他人に見られることなく確認できること

が大きな要因となっている様子。

また閉じる際の「パチッ」という音質がたまらない、といった声も少なくありません。
ですが、最も的を得ているのは、生活における携帯電話の位置付けであるとの見方です。

その先駆けとなったのがNTTドコモが開発した「iモード」。
1999年に世界で初めて、携帯電話でのインターネット接続サービスを開始しました。

中国で同環境が整う8年も前のことです。

iモードの画面

通信会社の老舗・NTTドコモによって、携帯電話でニュースを見たり、メールを送受信したり、新幹線のチケットを予約したりできるようになりました。

まさにイノベーションを起こしたサービスと言えるでしょう。
携帯電話は単なる連絡ツールから、多機能を備えた生活必需品と変貌を遂げたのです。

更に加えると、「iモード」専用のボタンが携帯電話に組み入れられたこと。
天気や交通情報、スポーツの結果までボタン1つで様々なサイトへアクセス可能となり、日本国内のみのサービスが充実しました。

「iモード」の出現によって、携帯電話自体も独自にブラッシュアップされていきます。

例えば、NECが投入したN502。
大型のカラーLCDディスプレイを搭載した初めての機種として、若者の間で急速に普及しました。

理由は手持ちサイズは据え置きで、開いた時のディスプレイとキーパッドの大きさが最適化がされたから。

今思えば当然の流れですが、インターネットを愉しむためには大きな画面が不可欠。
ユーザー体験として快適な操作を折り畳み式で実現したのです。

以降、日本のインターネット環境が変わると、「ガラパゴス化」路線で携帯電話も進化していきます。

・電波状況を強化するアンテナが伸びるもの
・ディスプレイを横向きに変えられるもの
・対面でデータ交換ができるもの

このような機種は中国でも一時流行しました。
カメラ付き携帯電話が登場した頃には、みな夢中になったものです。

しかし、自己流を突き通した日本の端末は、海外では成功しませんでした。
日本という閉鎖された環境で発達した機能も、他の国では受け入れられなかったのでしょう。

様々なガラケー

スマートフォン時代でガラケーと共存

2007年にiPhoneが上陸し、Androidと共に新たなスマートフォン産業が生まれると、日本国内の携帯電話業界は衰退していきます。
前述のNECやパナソニック、富士通、シャープなどは時代の波に完全に乗り遅れました。

世界的には携帯電話メーカー各社のシェアは微々たるもの。
「华为」(ファーウェイ、Huawei)による中国国内での現象と同様、アップルのiPhoneが日本市場で50%近く席巻しており、絶対的な地位を得ています。

コスト削減によって、上記の日本メーカーは市場からの撤退を余儀なくされ、ソフトフェアの開発も停止しました。

これの流れに飲み込まれるように、かつては支払い機能で優位に立っていた「iモード」も、ソニーがが開発した非接触型ICカード・FeliCaやiOS/Androidによって利用者が減少していきます。

スマートフォンの方が、折り畳み式よりも利便性が優れているのは言わずもがな。
技術的な遅れやiPhoneをはじめとする海外ブランドの台頭で、メーカー主導の時代は終わりました。

携帯電話メーカーの歴史

とは言え、特殊な日本から「折り畳み式」が完全に姿を消したかと言えば、そうではありません。

日本では現代の「スマホ」と、伝統的な携帯電話=「ガラケー」(ガラパゴスケータイ)とを呼び分ける習慣が定着。
ここ2年を見ても、三大キャリア(NTTドコモ、KDDI、ソフトバンク)は引き続き「ガラケー」の新機種を市場に投入しています。

おそらく、高齢化社会の構造が大きく関係しているのでしょう。
従来の操作・環境で満足している高齢者にとって、タッチパネルのスマートフォンは「機能過多」であり、これが間接的にスマートフォンの普及を妨げているのです。

既存の習慣を変える必要がない状況で、各キャリアは様々なサービス・プランの提供を始めました。
それば「ガラホ」と呼ばれる、半ガラケー半スマホの端末の投入です。

ガラホのイメージ

見た目はガラケーなのですが、ディスプレイ部分がタッチパネルになっている優れもので、Androidシステムを採用。
4G、無線LAN(Wi-Fi)、Bluetoothに対応しており、SNSメッセンジャー「LINE」も利用できます。

手頃な価格設定で、スマートフォンがまだ普及していない国・地域では「ガラホ」への注目が高まりました。

朝日新聞によると、日本では今でも2,000~3,000万人のユーザーが3G対応機を使用していると言います。
今でも「一万円端末」のポスターを街中で見かけることができるでしょう。

中高年を対象とした「スマホ個別教室」も開設されていて、いやはや日本が独特な環境であることは明らか。
産業が遅れているとは一概には言えません。

時には既存機種を改良し、再び需要を活性化しようとしています。

「ガラパゴス化」でもアイディア次第で、人々のファッションのように、やがて時代のサイクルが若い世代に周り戻ってくるかもしれません。

スマホ個別教室

※本記事は下記サイトを元に構成・翻訳しています。

■参考サイト(中国語)
日本人为什么现在还用“翻盖手机”?

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