今日で外出自粛期間が終わり、いよいよ明日から出社となる。
春節後、2億人とも言われる社会人が自宅で「远程办公(リモートワーク)」を行っていたわけだが、ヨーロッパやアフリカまで広がった新型肺炎は未だ収束の兆しが見えず、想像以上に深刻な状況だ。
政府が定める自宅待機には条件があって、帰京してから14日間。
これはコロナウィルスの潜在期間が14日と言われていたためで、人との接触を極力避け、感染拡大を防止ことが目的である。
この期間中、もし身体に少しでも異常が見られた場合は、速やかに医療機関および所属企業に報告しなければならない。
もし在宅観察や予防・コントロール措置の受け入れを拒否すると、公安機関によって厳粛に処罰される可能性があるという。
外出時にはマスク着用が義務付けられている。
だが、北京市内の地下鉄や公共バスは一部が運行休止となり、遠方へは行きにくい。
周辺区域への車両移動は厳格に規制されていて、街中から人や車がいなくなった。
また生活に必須ではない文化・体育活動室や娯楽施設は現在も閉鎖中だ。
実際、早い段階で対策処置が取られていたと思う。
休暇先のヤンゴンから雲南省昆明を経由して北京に降り立ったのが2月2日の未明。
タクシーでマンションの入口に戻ると、警備員により厳しい体調確認をさせられた。
前日に過ごした温暖な気候から一転、氷点下の中で体温を測定し、滞在先に関するヒアリングに回答する。
幸いにも、ミャンマーには感染者がおらず、問題なく帰宅することができたが、身体はクタクタだったのを覚えている。
地域レベルでの感染防止も徹底している。
例えば、エレベーター内でボタンに直接触れることが出来ない。
備え付けのティッシュペーパーを利用して、指定の階を押すことになる。
※持出禁止!紙を使用してボタンを押してください(P.S:外出時はマスク着用必須)
さらに北京市市場監督管理局は飲食店でのグループ会合を禁止した。
少数で飲食サービスを受ける際は、他の人と間隔を1メートル以上空けなければならない。
もちろん、入店時には体温測定を行う必要がある。
近所の吉野家ではテーブルや椅子が片付けられ、テイクアウトのみの営業を行っていた。
※客がいない吉野家の店内
新型肺炎の影響をもろに直撃しているのが淘宝(Taobao)、京東(Jindong)といった大手オンラインショッピングモールや物流業界。
出品者が注文を受け付けても配達員が不足しているため、いつ商品を発送できるか見込みが立たないからだ。
オフィスビルなどでは出前及び宅配業者の出入りが制限されているのも原因の一端だろう。
※特別期間のため入館者はマスク着用のこと(左)、出前業者・配達員の出入禁止(右)
明日以降の対応は、企業によって様々だが、ボクの会社では出社に先立ち、健康状態の最終確認が行われた。
帰省先、北京に戻ってきた日、発熱・悪寒の有無、体調状況に加えて現在の体温を伝える。
異常が無い社員のみが段階的に出社できる。
事前に申請が必要であるが、希望者にはマスクが支給される予定だ。
市場では品薄状態で、入手困難なマスクの心配はない。
先週より社内の全てのエリアで殺菌消毒が1日数回行われていて、安全で清潔な職場環境が整っているという。
公共交通機関が正常に機能していない中、タクシーや配車サービスによる通勤が認められた。
基本的には会社が交通費を全額負担してくれる。
近くの同僚と協力してシェア同車するなど不必要な出費は控える必要があるが、他社に比べると福利は充実していると言って良いだろう。
今の会社に対して、社員への厚遇な点が満足している部分だ。
現時点で、外務省の感染症危険レベルは、湖北省全域と浙江省温州市で渡航中止勧告(レベル3)、その他の全地域は不要不急の渡航非推奨(レベル2)となっている。
そんな中、在中華人民共和国日本国大使館から、在中国在留邦人に対して日本への早期一時帰国を検討するよう通達が届いた。
航空各社は日本⇔中国路線の減便・一部運休を発表しており、いよいよ日本人を退避させる動きが強まってきたと感じている。
これまでは北京生活の懸念と言えば、大気汚染/PM2.5/霧霾(Wumai、スモッグモッグ)であった。
空は灰色に霞み、視界は遮られ、空気が重い。
朝から霧霾が立ち込めた日には外出をする気が起きず、大好きなサッカーも出来ない。
長期的に暮らすには、正直、厳しい都市である。
これに拍車をかけるように新型肺炎が広まった。
いくら医療技術が進歩しようとも、自然の驚異には敵わないのだろうか。
健康第一、今まで以上に自分で自分の身を守る必要性に迫られている。
嗚呼、ミャンマーでの至福の時間が懐かしい……。