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【中国発】飲食宅配ドライバーの給与って良いの!?

配達の光景 CHINA NEWS
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とある事件がきっかけで、デリバリー業界に再注目!

昨年12月22日、湖南省武漢市のショッピングモール2階にある日用雑貨店の男性店員が、集荷に来た配達員に刺し殺される事件が起きました。容疑者はデリバリーサービスの大手・美団(Meituan)の男性(32歳)です。

武漢市公安局の発表によると、120番通報(救急)で駆けつけた救急員が、店内に横たわっている男性を発見。その時に被害者は既に息が途絶えていたとのことでした。

事件発生後、現場に到着したショッピングモールの警備員が、黄色のヘルメットとジャケットを着用した男性に事情をヒアリングしようとします。しかし、彼の手元には鋭利のナイフが…。

来店客を避難させ、2階を一時的に封鎖。十数人の警備員が包囲し、手すりを乗り越えて1階へ飛び下りようとする容疑者を取り押さえ、身柄を確保しました。

配達員取り押さえ

容疑者は当局の調べに対し、集荷した品物に不備があり、これが原因で口論に発展。カッとなって持っていたナイフで店員を刺した、と供述しています。

一方、美団(Meituan)は声明の中で、
「該当の雑貨店には欠品・返品などの問題が起こったことはなく、評判も非常に良い」
と述べており、両者の間で食い違いが出ています。

また一部のメディアにて、容疑者の言動を問題視した店側が、改善を求めるフィードバックを行ったことが発端、との報道もありました。

出前アプリの評価システム

直接的な原因は調査中ですが、中国版ツイッターの微博(Weibo)で飛び交う憶測の一つとして、配達員側の時間的なストレスに起因していた、との見方が強くなっています。

というのも、オンラインショップや出前アプリには、注文する店舗側と商品を届ける配達員への評価システムが組み込まれていて、
店舗側に対して…商品の味、ボリューム、見た目、新鮮度/品質
配達員に対して…時間遵守、服装などの清潔さ、人柄/態度
など、利用者のレビューが双方に大きな影響を与えています。もちろん、報酬金額に直接的に響いてきます。

今回は配達員の、
・集荷時に直ぐに商品を受け取れない
・配送予定時間にギリギリ間に合わない
という心理的なプレッシャーと焦りが溜まりに溜まった結果、上記の刺殺事件に繋がってしまったと考えられます。

シビアな「罰金」が宅配ドライバーに圧し掛かる

では、飲食宅配ドライバーの報酬や実収入はどうなっているのでしょうか。

実際の収入例として、
Aさんの場合
1ヶ月の配達件数は508件で、総走行距離1,951km。給与は5,600元(約87,000円)
Bさんの場合
1ヶ月の配達件数は304件で、総走行距離1,213km。給与は3,200元(50,000万円)
街の発展状況や交通事情にもよりますが、配達単価は約11元(172円)/件と、かなりブラック企業感が出ています。
走行距離は日本の本州1本分に相当していて、結構ハードワーク…。

配達の様子①

それでも、
・少しでも稼ぎたいドライバー
・1件でも効率よく配達させたい出前アプリのプラットフォーム
により配達件数は年々増加。さらに過酷な業界となっています。

その反動か、交通ルールを守らない社会が浮き彫りに。
実際、北京などの都市部では、デリバリーバイクの信号無視・逆走は当たり前。歩道や通行禁止エリアでの爆走も良く見かけます。

配達の様子②

国内メディアによると、現在全国に約400万人の配達員が出前アプリのプラットフォームに登録していて、2日半に1人が交通事故で死傷。20人中3人が事故に遭遇しているといいます。

この状況を生み出しているのが、上記の配達員への評価システムです。
利用者が不利益を被った(と感じた)場合、配達員にマイナス点・低評価を与えます。
すると、その内容に応じて、配達員は報酬から「罰金」分を差し引かれてしまいます。これが死活問題になっているんです。

例えば、

配達時間に間に合わないと20元の罰金
配達ミスをすると30元の罰金
顧客からのクレーム1回につき50元の罰金
低評価(星1つ)1回につき200元の罰金

などなど。

もし1回でも何らかのマイナス点を付けられれば、2~20件分の報酬が台無しに。ブラック決定ですね…。
デリバリー業界の内情を知った上で、街中をぶっ走っているバイクを見ると、
「思った以上にストレスを受けながら、業務を遂行しているんだなぁ」
と同情はしなくもなくはありません。
けれども、やはり安全第一で、ルールを守って欲しいと思っています。

最後に…

出前サービスは若者を中心に需要は高まっていて、業界全体は好景気。
2019年の総取引額/市場規模は6,035億元(約9.4兆円)で、前年(4,613億元)より30%以上も伸びているとのことです。

お昼時には多くの社員が出前アプリで弁当を注文しています。
会社の受付には届いた弁当の山々が。
でも、別の社員が間違って商品を受け取って、自分の昼食が行方不明になったりして。
きちんと手元に届くまで油断できませぬ。

あとは、まぁ、ボクの私見ですが、「調理場が見えない」デリバリーフードの衛生面に不安がありますね。
アプリ内の写真と現物が全然違う!ということは頻繁にありますし(リアルレストランでも…)、最近は殆ど利用はしていません。

安い訳には裏がある…そんな想いを抱きながら、自炊の毎日を送っています。

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