今年初めに猛威を振るった新型コロナウイルスに対し、国は総力を挙げて早期封じ込めに成功。
一時的に大打撃を受けた中国経済でしたが、今では順調に回復に兆しを見せています。
情報サービス会社のブルームバーグの予想によると、主要国の中では唯一のプラス成長が見込まれ、さらに景気を上向きになるか否かは国内の消費者(個人消費)が大きなカギを握ると結論付けています。
さて先日、「阿里巴巴」(アリババ、Alibaba)の公式Twitterにて興味深い統計が投稿されました。
それは中国人を世代別に分類して、各タイプがどのような消費傾向にあるか分析したもの。
本記事ではその内容を参考に、中国人消費者の行動パターンをメモっていきます。
アリババが中国の消費者を6つのタイプに分類
元ネタは以下の投稿です。
【💡AliData 】
6タイプ中国消費者の趣味嗜好を全解析 ❶高度経済成長を続けてきた中国では、人々の消費志向も地域や年齢によって多様化が進んでいます。今回はそんな中国の消費者をわかりやすく6つのタイプに分けて解説します!
皆様のビジネスやマーケティングのご参考になれば幸いです😊 pic.twitter.com/a3epkaS2zZ
— アリババグループ Alibaba Group – Japan (@AlibabaJapanPR) September 2, 2020
アリババのツイートでは、中国の消費者は6つのタイプに分類。
人口に占める割合や経済規模がどれくらいなのかを整理しています。
タイプ別の総人口の比率(%)と家計消費(2017年時点)は以下の通り。
→25%、276兆円
②新興地域消費者
→28%、244兆円
③1・2級都市などの大都市消費者
→31%、148兆円
④農村部消費者
→40%、106兆円
⑤シルバー世代
→17%、85兆円
⑥ジェネレーションZ
→12%、59兆円
パーセンテージを合計すると100%を超えてしまうのですが……複数に当てはまる消費者がいるということなのでしょうか……。
それはさておき、聞きなれない肩書がいくつかありますね。
これより1つずつ解説してきます。
①ミレニアム世代
「自信と能力があり、目の肥えた消費者」
おそらく、現代で一番イケイケ、ノリノリの世代。
「90后」(1990年以降生まれ)が中心となって構成されるタイプです。
・教育が行き届いている
・国際的な視野を持っている
・個人的にも仕事にも人生の全盛期
・子育てに積極的に投資
特徴だけみると、エリート感が漂いますね。
海外留学を経て、グローバルに活躍している姿が想像できます。
本当に品質が良いものを見定め、価値があると思えば、迷わず購入。
無計画な浪費をすることはありません。
また若きリーダーやIT企業創業者も含まれるのでしょう。
将来に向けた事業・自己投資を惜しまず、今後も中国経済を引率するのが「ミレニアム世代」です。
②新興地域消費者
「中国の新興勢力消費者」
なんか前衛的な肩書ですね。
消費に対して潜在意欲があり、より活発に行動を起こすタイプに分類されます。
・裁量的な支出への意欲が高い
・貯蓄を優先しない
・ライブコマース配信者の推薦を重視
・エンタメにお金と時間を費やす
お金は全て自分の趣味や興味があることに余すことなく使用。
買いたいものがあれば、即購入。
こんな感じでしょうかね。
行動力がありつつも、後先を考えない層と言えるかもしれません。
スマートフォンを通じたオンラインショッピングが日常化し、レビューやKOL(中国のインフルエンサー)の評価を元に商品を選択します。
アニメ、漫画、ドラマ、映画、ゲームなど娯楽産業の主人公である「新興地域消費者」が、この分野の発展に寄与することでしょう。
③1・2級都市などの大都市消費者
「比較的高収入の洗練された消費者」
都会でキャリアを積み、かつ家庭を築き上げている層ですね。
経済的にも余裕があり、計画的に消費活動を行う傾向にあります。
・グローバルで有名なブランド商品に興味がある
・健康意識が高い
・長めの海外旅行が好き
不自由のない収入によって、一般的な生活を送るには困りません。
自分のステータスを維持・向上ことを目的とし、相応のアイテムを身に付けます。
とは言え、すでに子どもがいる世代であり、購買には若干デリケートになっていることでしょう。
教育費や生活費が増える中、将来のために収入と支出のバランスを考えなければいけませんね。
よって、普段は質素な生活を営みつつ、1年に2~3回派手にお金を使うパターンも多め。
これからも続く人生で、心身共に豊かにするために消費を行います。
④農村部消費者
「インターネットの普及と配信ネットワークの拡大により恩恵を受けるセグメント」
都市部との格差が広がり、発展が遅れている地域に住む人々。
「地産地消」ならぬ「自産自消」で生活しています。
・オンライン決済が増えている
・地場産品や中国国産の商品を好む
・経済的な負担が少ない
・支出に意欲的
ただし、インターネットをフル活用しているのが「農村部消費者」。
物流インフラが整った中国では、地理的に困難な場所にも配送が可能となっています。
年齢的にも腰が重い世代ですが、その反動がオンラインショッピングに跳ね返ってくるのでしょう。
農村部の利用者は年々増え続けています。
自分の土地と家への支払いは完結しており、毎月の固定費も高くありません。
収入に対して自由に消費できる額が大きく、羽振りの良さが目立つ世代です。
⑤シルバー世代
「60歳以上で一定の個人資産を積み上げた世代」
リタイア組ですね。
人生の余暇を健康に過ごすことが、生きる最大の目的になります。
・実用性、品質、耐久性を重視
・ECを利用し始めている
・贅沢な休暇を過ごすことに意欲的
膨大な富を築いたのは一握り。
大部分が年金や少ない貯金を切り崩しながら生活しています。
無駄な支出は極力控えた、質素でシンプルなライフスタイルですね。
新たにモノを買い替えることは殆どありません。
経済的なパワーが下降状態に入った「シルバー世代」。
超高齢化社会に突入する中国にて、どのような対策が行われるのか注視しましょう。
⑥ジェネレーションZ
「モノよりも体験を求めるデジタルネイティブ」
新たな現代用語が出てきました。
これまでの常識や社会に囚われない生き方を目指すタイプになります。
・クラフトマンシップとデザインを大切にする
・ニッチでローカルなブランドが好き
・環境保護など社会的影響を心掛けている
・デジタルを活用した社交活動に慣れている
SNSが自分の舞台。
流行の波に乗りつつ、自らの存在感を世に示したいという欲求で満ち溢れています。
またブランド・事業を創造して、自分で稼ぐ。
組織に属することなく、この手で世の中を変えたいと思っているかもしれません。
よって、消費に対しては、強いこだわりは持っていないでしょう。
モノへの執着心はなく、最高のサービス・体験に消費する傾向があります。
巨大ショッピングモール「淘宝」や「天猫」を運営しているアリババだからこそ、緻密な分析と動向をまとめることができるのでしょう。
各タイプとも簡潔に特徴をとらえていて説得力も出ています。
中国経済を紐解く面白い投稿だと感じました。