2019年を振り返るとき、サポーターは口を揃えて、こう語る。
「過去10年で最悪の年だったが、今後10年間で最高の一年になる」
中国の各業界は改革に満ちており、いわゆる“安定”的な現状は打破した。
我々には多くの課題が直面するも、チャンスと挑戦が一体となった2019年。
ある者は混迷から抜け出せず、ある者は躍進を遂げている。
ただし、中国サッカー界においては、適切な表現とはならない。
最悪の1年には変わりなく、決して最高の姿とは言えないが、暗黒の時代を終える予兆が見られたのだ。
中国サッカー界の未来を変えた出来事
2019年1月7日 ハリファインターナショナルスタジアム
中国代表として最初の国際マッチであり、AFCアジアカップのグループステージ初戦。
マルチェロ・リッピ監督(当時)が率いる男子サッカーA代表はキルギスに2-1の逆転勝ちを収め、AFCアジアカップ・初戦における4連勝を飾った。
耐えに耐え抜いた結果、相手から勝利をもぎ取る。
2019年12月18日 釜山アジアドメインスタジアム
昨年最後の一戦と同時に、EAFF E-1サッカー選手権の最終戦。
新監督・李鉄が挑んだ香港戦は、0-2で完敗を喫した。
E-1選手権では直近6試合未勝利と不名誉な記録を打ち立て、勝利に始まった2019年は、敗北で幕を閉じる。
指揮官がリッピから李鉄に代わっており、中国サッカーは大きな変化を痛感する。
喜び、痛み、苦しみ、失望。
様々な感情を齎した特別な一年だ。
2019年を振り返る
AFCアジアカップの話に戻そう。
グループステージを2勝1敗の2位で乗り切り、ノックアウトステージに進んだ。
第2戦では韓国に0‐2で敗れるも、続くフィリピン戦は3-0で完璧な勝利。
66分に放った武磊のボレーシュートは、本年度のベストゴールと称えられた。
トーナメント1回戦の相手はタイ。
試合は1点ビハインドから肖智のヘッドと郜林のPKによるゴールで逆転し、国家の血気でアジアベスト8に返り咲く。
残念ながら、輝かしい時間は短かった。
次のイラン戦は手も足も出ず、0‐3で敗退。
中国代表のAFCアジアカップが終わった。
この試合後、怒りを抑えながらも「中国サッカーを救えなかった」と冷静に話したリッピは辞任を表明する。
事態を鎮火させるため、暫定的に監督に就任したのはファビオ・カンナバーロ。
ところが経験の浅さが目立ち、中国カップで采配を取ったタイ戦、ウズベキスタン戦ともに0‐1と結果を出せない。
トライアルにパスできなかったたカンナバーロは、4月28日、SNSを通じて代表監督から降りることが明らかした。
これにより、リッピは気持ちを新たに、再びA代表に戻ることを決心。
翌5月24日に契約を交わし、正式に監督へと返り咲く。
2019年6月7日は、中国で伝統ある端午節。
復帰一戦目となったフィリピン戦は2‐0と大満足の祝日となり、さらには記憶に刻まれるであろう一日となった。
中国サッカー史上初めて、英国生まれで北京国安所属のニコ(李可、本名:Nicholas Yennaris)が、中国国籍を取得した選手として出場したのだ。
知らず知らずのうちに、ここからサッカー界の「帰化時代」が始まる。
8月にエリクソン (艾克森、本名:Elkeson de Oliveira Cardoso)が中国国籍を取得。
いよいよ中国の無血化が進んでいることが証明され、一つの大きな分岐点となる。
代表ユニフォームを身に纏った彼らが、ピッチで国歌「義勇軍行進曲」を歌う姿は、国民に強い印象に残した。
そうこうしているうちに、FIFAワールドカップ・アジア予選が再開。
2次予選ではシリア、フィリピン、モルディブ、グアムと同じグループに入り、大げさでなくとも、中国代表が最終予選に進むことに全く問題はないとみられていた。
9月10日のモルディブでもアウェー戦は、エリクソンの2ゴールを含む5‐0で圧勝。
この初戦で疲れを見せず献身的に駆け回るエリクソンは、我々に代表が一つのチームにまとまっていることを証明する。
ホームにグアムを迎えた第2戦目も7‐0と圧倒的な力で叩きのめし、予選突破へ勢いをつけた。
だが、続くフィリピンとの一戦がターニングポイントとなる。
10月15日に敵地に乗り込んだ中国代表は、14本のシュートを放つもゴールを奪えず、今まで一度も負けたことがないフィリピンに、スコアレスドローに持ち込まれた。
そして、グループ内で最大のライバル・シリアとの闘い。
ここまでシリアは3戦全勝で首位をキープ。
一方、前の試合で勝ち点2を失った中国は、ここで勝たなければ予選敗退に追い込まれる。
名将リッピにとっても重要な一戦で、負けられない。
試合は19分に先制したシリアのペースで進んだ。
だが中国も少ないチャンスを生かし、29分に武磊が同点ゴールを叩き込む。
緊迫したゲームは1‐1で前半を折り返す。
ところが、悲運は突然やってくた。
79分、左からのクロスをクリアしようと、张琳芃が右足を伸ばす。
だが無情にも、ボールは自陣のゴールに吸い込まれ、オウンゴールを献上。
1‐2で敗れてしまった。
首位に勝ち点5の差をつけられた中国代表は窮地に立たされている。
2次予選は残り4試合。
最終節の中国との試合の前に、シリアが他の3国に負ける可能性は低い。
中国は、シリアとの直接対決を待たずして敗退となるかもしれない。
シリア戦のあと、リッピには戦い続ける気力が残っていなかった。
試合後の会見で、
「これ以上、報酬を受け取ることはできない。本日をもってヘッドコーチの職を辞する」
と再び辞任を表明し、174日という短い任期で中国を去っていった。
優秀な監督を失った中国代表は、厳しく猛省をすることになるだろう。
2019年のA代表の成績は16戦で8勝7敗1分。
勝率50%は過去8年で最高水準である。
だが、アジアトップ10のチームに全て敗北している事実を踏まえると、少々格上の相手でさえ勝ち目がないようだ。
女子サッカー中国代表も同じく辛酸を舐めた。
誇りをもって闘った女子FIFAワールドカップは、ノックアウトステージでイタリアに屈し、ベスト16止まり。
最低目標はクリアしたものの、次のステップが非常に遠かった。
グループステージではドイツ、スペインにも敗れていて、世界の一流チーム、特に欧州との力の差は歴然としている。
年末のEAFF 女子E-1サッカー選手権では韓国に0‐0の引き分け、日本戦は0‐3と完敗。
最終戦の台湾は何とか1‐0で勝利を挙げるも、緩やかな衰退は否めない。
かつて「铿锵玫瑰(リズミカルな薔薇)」と呼ばれた雄姿は、もはや見られることがなかった。
※本記事は下記サイトを元に構成・翻訳しています。
■参考サイト(中国語)
2019的三件大事,也许改变了中国足球未来的发展轨迹…