一党独裁、情報の規制、隠蔽、拝金主義……。
残念ながら「中国」という国に対してはダークな連想をしてしまいがちですよね。
訪日する中国人にも余り良い印象がないかもしれません。
その要因の一つになっているのがマスメディアだと思います。
残念ながら、人間は良いニュースより悪いニュースに興味を抱きやすい。
誇張された国内外の「不幸」が連日流されています。
結果、
中東=紛争
南米=麻薬
アフリカ=貧困
と国や地域に対する負のイメージが偏った報道によって染み付いてしまっているのです。
現地を訪れて自分の目で確かめてみれば、そんなことは無いと分かるのですが……。
ボクは中国に暮らして9年。
嫌な経験や苦しい思いは何度もありましたが、それ以上にこの国の魅力に惹かれています。
そうでなければ、早々に帰国していたことでしょう。
隣国には手本として参考すべきことがたくさんあります。
今回はポイントを5つに絞り、自分たちの将来のためにメモっていきます。
ネット環境の技術とインフラ整備
ネットワーク環境の構築は中国政府が最も力を入れている分野。
4Gは全国の行政村の95%、人口の99%をカバーしています。
スマートフォンを中心とした生活が当たり前となりました。
そして昨年末より5Gの商用サービスが開始されました。
北京や上海など主要な50都市にて、5Gの基地局を整備済み、大手メーカー「华为」(ファーウェイ、Huawei)や「小米」(シャオミ、Xiaomi)も5G対応端末を市場に投入しています。
試験段階ではあるものの、世界をリードする動きに目が放せません。
訪中者にとっても嬉しいことが。
飲食店、ショッピングモール、地下鉄といったほぼ全ての場所で無料Wi-Fiが完備されています。
日本のようなキャリアによる制限はなく、どんな端末でもネットに接続可能です。
空港では格安でSIMカードも手に入るので、心配ありません。
SIMカードを2枚挿せるスマートフォンがあると便利ですよ。
キャッシュレス
「LINE Pay」(ラインペイ)や「Pay Pay」(ペイペイ)が浸透しつつありますが、現金主義の日本ではまだまだ時間がかかるでしょう。
一方、中国では早々にキャッシュレス社会が形成されました。
上述のインターネット環境の後押ししたのは事実ですが、
「現金は信用できない」
と紙幣に対する不信感が根本にあったのも大きかったように思われます。
今では「支付宝」(アリペイ、Alipay)と「微信支付」(ウィーチャットペイ、WeChat Pay)の2大プラットフォームのおかげで、ほぼ全ての場所でキャッシュレス対応されています。
子供からお年寄りまでがスマホで決済を行う時代。
自分たちの子供・孫世代には、
「現金って何?見たことない」
なんてことがあるかもしれませんね。
※新型コロナウイルス感染の予防の一環として、現金の使用は禁止されました(2020年3月26日時点)。
財布の中には100元ほどしかありませんが、運用できない資産として少し困っています。
全体的なスピード感
何か問題が起こったとき、事態が急変したときの対応は凄まじく早い。
国レベルでは共産党がトップダウンで指揮を執り、迅速にアクションを起こします。
新型コロナウイルスが拡散し始めた時の、湖南省武漢市の封鎖やリモートワーク&オンライン学習などは良い例でしょう。
まぁ、好ましくない例も挙げると……。
SNSで拡散された政治的に不利な情報や政府批判に対しては、サイバー監視チームによって即削除され、関連アカウントは凍結対象となりますね。
表現の自由は存在しません。
どちらかというと後者の方がフィーチャーされがち。
でも似たようなことはどこの国でも結構やっていると思うんですけどね。
出る杭は打ってやろう的な圧力で。
話を戻して。
企業レベルでも意思決定の早さは日本の比ではないでしょう。
組織内では階層に関係なくトップに直訴するのも可能。
契機と見れば直ぐにGOサインを出して、行動を起こします。
時代の流れを読み、ブームの波に乗って、ビジネスに繋げる。
この考え方は個人も同じです。
チャンスを掴むための貪欲さ。
前に進みだすスピード。
見習いたいものです。
まだ比較的安い物価
中国全体で成長率は伸びしろが残っているので、不動産・地価や人件費は右肩上がりです。
これに比例してインフレが進んでいるかと問われれば、決してそうではありません。
例えば、野菜や果物は日本より30%~70%ほど安く手に入ります。
公共交通機関、映画、ホテル、などもかなりリーズナブル。
中国に進出している日系レストランでも、お手軽価格で日本と同じ味が楽しめます。
北京のサイゼリヤのレポートは↓から。
ちなみにボクの1ヶ月の食費は3,000元(約50,000円)。
外出自粛&リモートワーク時は殆ど支出しないので、1,500元ほどで済みました。
良い意味で個人主義
中国の国民性は自己中心です。
「自分が良ければ、それでいい」
という具合で、他人より自分を最優先します。
大よそ見ず知らずの他人には興味なし。
もしボクが道で転んだとしても、誰も見向きはしないでしょう。
外国人の中国語が下手でもバカにされることはありません。
なので、恥ずかしがることなく、他人の目を気にせずに生活できます。
これって結構良かったりしませんか?
またボク自身も遠慮することなくガツガツ攻められるようになりました。
待っていたら何時まで経っても自分の番が来ませんから。
積極性が高められているのかな、とも思います。
はい、人間的に物凄くタフになれました。
戦後の経済的な成長と発展で先輩面していた(かもしれない)日本も、見習うべき部分はあると思います。
特にテクノロジー分野は二歩三歩と先を越されましたし。
ライバル心<共存の意識があれば強力なパートナーになれるはず。
日中が手を組んで東アジアを盛り上げてほしいものですね。