ボクの友人の奥さんが先日、帝王切開で元気な赤ちゃんを出産。
その後、高額療養費制度を申請し、分娩費用の一部を払い戻してもらおうと思いました。
しかし、結果は適用対象外。
帝王切開の費用は全て自己負担となりました。
インターネットの記事には「帝王切開で出産した場合は、高額療養費制度の対象になる」と書かれていたのに……。
どうして、お金が戻ってこなかったのでしょうか。
本記事では、高額療養費制度で不支給となる場合の理由と注意点を、友人のエピソードを交えながらメモっていきます。
帝王切開で高額療養費制度が適用されないケース【不支給の理由】
まずは高額療養費制度とは何なのか。
簡単に解説していきます。
1. 高額療養費制度とは?
高額療養費制度とは、病気や怪我により医療費が高額になった際、自己負担額が規定の金額を超えた場合に、その差分が払い戻される公的支援の一つ。
要は、医療(手術や治療など)に対する負担額に上限が決められていて、それ以上は自分で払わなくても良い(超えた分は国が支払いますよ)という制度ですね。
帝王切開は医療行為なので、高額療養費制度の対象となっています。
2. 高額療養費の申請方法
予め帝王切開で出産すると分かっているのであれば、事前に申請が可能。
ですが、友人のケースは、出産当日に判断されたので、退院後に手続きをすることになりました。
申請方法は自分が加入している公的医療保険によって異なります。
- 健康保険組合
- 全国健康保険協会(協会けんぽ)
- 共済組合
などですね。
ここでは「協会けんぽ」の場合について、簡単に手順を記載します。
①申請書の準備
公式ホームページから健康保険高額医療費支給申請書をダウンロード。
必要事項を記入します
②以下の添付書類の準備
- 病院で発行した領収書のコピー
- 分娩費用明細書のコピー(あれば)
- 身分証明書のコピー(マイナンバーカード、運転免許証、パスポートなど)
支給が確定した場合、希望の口座に返却金が振り込まれます。
通帳等のコピーも添えると、手続きが確実かもしれません。
③郵送
自分が属する「協会けんぽ都道府県支部」へ①と②を郵送します。
「協会けんぽ」に届いたのち、3ヶ月ほどで結果が通知されますよ。
詳しくは各保険機関に問い合わせてみましょう。
3. 帝王切開でも不支給となった理由
ここからが本題。
帝王切開だったにもかかわらず、高額療養費制度が適用されなかったケース。
その理由はたった1つです。
答え:自己負担額が、限度額(規定額)を超えていなかったから。
実際に支払った医療費が、国に定められている限度額の範囲内でした……残念。
ですが、そもそも、限度額はどのように決められて、具体的にいくらなのか。
それは、ざっくりと以下の計算式で算出されます。
標準報酬月額 | 1ヶ月の自己負担限度額(69歳以下の場合) |
83万円以上 | 252,600円+(医療費-842,000円)×1% |
53万~79万円 | 167,400円+(医療費-558,000円)×1% |
28万~50万円 | 81,000円+(医療費-267,000円)×1% |
26万円以下 | 57,600円 |
低所得者 | 35,400円 |
1ヶ月あたりの収入によって異なるんですね。
実際の医療費によって変わってきますが、概ね緑色の金額だと覚えておけばよいでしょう。
さて、友人のケースを振り返ると、不支給となった理由の背景には大きく2つの要因があることが分かりました。
②対象外の医療費が発生していた
ですね。
①年収/所得が高い
彼の年収は840万円ほど。
標準報酬月額=月収は70万円になります。
ということは、自己負担の限度額は167,400円。
高給取りだったので、多めに設定されてしまいました。
高額療養費制度は、国民の経済的な負担を軽減することが目的。
お金持ちの方は限度額が増えても何となる、という観点で上記の計算式が出来上がったのでしょう。
「帝王切開で出産した場合は、高額療養費制度の対象になる」と分かっても、100%お金が戻ってくるわけではありません。
収入が多い方は留意しておいた方が良いですね。
②対象外の医療費が発生していた
帝王切開って、思ったより費用がかからないのでしょうか。
そんな疑問をぶつけてみると、分娩時の明細を教えてくれました。
出産育児一時金:42万円
自己負担額:69万円-42万円=約27万円
おやおや、167,400円を大幅に超えていますね。
教科書通りなら、
になるはず。
でも、「自己負担額が、限度額を超えていない」と申請は却下されています。
これには納得がいきません。
すぐに友人は「協会けんぽ」で電話。
すると、
保険が適用される手術・治療のみが高額療養費制度の対象となり、医療に直接かかわらない費用は対象とされていません。
と言われたとのことでした。
要は、
- 入院中の食事代
- 個室などのベッド代(差額分)
- 日用品の費用
- 健康保険適用外の診療費
などは自己負担額から省かれるんですね。
彼の奥さんは入院時に個室を利用。
また諸々の消耗品を購入しており、それらの金額も合計医療費に含まれていました。
自己負担額27万円のうち、対象外の費用は約12万円だったそう(個室が高い!)。
対象外の費用:12万円
支給対象の費用:27万円-12万円=15万円
帝王切開に対してのみの医療費は15万円ほどで、彼の場合は限度額167,400円を満たしていません。
これが「高額療養費制度が適用されない理由」の理由です。
月収20万円の方であれば、限度額81,000円との差額で約7万円が戻ってきます。
これはかなり嬉しい保障でしょう。
ただし、収入が多くなるほど、その確率は低くなるんですね。
ボクの友人は高額療養費制度が不支給となりましたが、実はあまり落ち込んでいません。
母子ともに健康な状態で出産が成功しましたから。
今も元気な赤ちゃんを面倒みながら、家事・育児に励んでいます。