「暇だから動画でも見ようかな」
と若者が真っ先に開くのが「哔哩哔哩」(ビリビリ、bilibili)。
中国で知らない人はいない超有名な動画サイトおよびアプリです。
■ビリビリ(中国語)
https://www.bilibili.com/
ここ数年は専らスマートフォンのアプリが主流。
どこでも気軽に動画を楽しめる時代になりました。
ただし、App StoreまたはGoogle Playからアプリをインストールするには中国大陸のアカウントが必要です。
本記事では「ビリビリ」のイロハについて、メモっていきます。
マスコットの「22」(左、姉)と「33」(右、妹)
ビリビリの特徴
「ビリビリ」は2009年6月に開設されたエンターテイメントに特化した動画サイトで、「B站」(B駅、B Zhan)の愛称で親しまれています。
その特徴は、
・ターゲットは10代~30代前半
・アニメ、ゲーム、サブカルチャーに強い
・実況e-sports
・オフラインイベント
年齢層を外すと……日本の「ニコニコ動画」(Niconico)をかなり意識しています。
というか、完全模倣したという見方が強め。
(ちなみに「ニコ動」は2006年にオープン)
人気を博した理由の一つが「弾幕」機能。
視聴者のコメントが右から左に流れる、アレです。
日本同様、中国でも爆発的にハマりました。
「ビリビリ」が中国版「ニコ動」と呼ばれる所以でしょう。
では、上記の特徴を一つずつ掘り下げていきます。
ターゲットは10代~30代前半
昨年公表された数字によると、月間の利用者数は約1.3億人。
うちスマートフォンを含むモバイル端末のアクティブユーザーは1.16億人とのこと。
日本の総人口に相当しますね。
さらに年齢別では、18~35歳が78%を占めていて、スマホ世代に圧倒的に支持されているのが分かります。
「ニコニコ動画」は昔からファンが継続してアクセスしているイメージで、平均年齢は「ビリビリ」より高いでしょう。
また「ニコ動」アプリの使い勝手に改良の余地があり、未だに動画サイトを主軸にしている点も、「ビリビリ」とは相違があります。
一方、初めてスマホを手にする若年層がまずインストールするのが「ビリビリ」。
ターゲットが明確な分、アプリへの移行が早く、ユーザーの囲い込みにも成功している形です。
アニメ、ゲーム、サブカルチャーに強い
元々は、日本の文化をそのまま中国に持ってきたところからスタートしています。
そのため初期の頃は「ニコ動」作品の2次使用がほとんど。
コンテンツの中心はアニメやゲーム動画でした。
その後、ユーザーたちが本当に面白いものを求めるようになり、
・チャレンジ系
・歌ってみた/踊ってみた系
・Vlog
・自作の動画
などが増えてきます。
「YouTube」のトレンドと似ていますね。
最近も同様の内容が見られるものの、
また「ビリビリ」には独自の作品・コンテンツを日替わりで提供・更新しています。
テレビ番組に類似した手法でしょうか。
日替わり更新のアニメ
これによってアクセス意欲と訴求を高まります。
「ビリビリ」が生活の一部となり、アプリを開くことが習慣化され、コアなファンを増やすことができるのです。
実況e-sports
もちろんライブ機能も備わっています。
ずっと根強い人気があるのは、アイドルや美女の配信ですね。
特に何するわけでもないのですが、チャットや弾幕を通じてコミュニケーションができる仕組みが理由でしょう。
また「B币」(ビリビリコイン)と呼ばれる通貨を購入して、いわゆる「投げ銭」の形でプレゼントすることも可能。
ネットを介したアイドル活動に拍車をかけています。
そして、最も熱いライブはゲーム実況です。
・王者荣耀(伝説対決 -Arena of Valor-)
この2つのオンラインゲームが中国はもとより、世界中で爆発的にヒットしています。
e-Sports(eスポーツ)ブームを牽引し、盛り上げている要素がライブ実況でしょう。
「ビリビリ」でも多数のプロゲーマー・配信者・チャンネルが存在しています。
2018年からは子会社の「哔哩哔哩电竞」(ビリビリe-Sports)が設立され、大会運営を手掛けるようにもなりました。
eスポーツが一大産業に発展する日は、そう遠くはありません。
オフラインイベント
毎年恒例の「ニコニコ超会議」(2020年は新型コロナウイルス感染症の拡大に伴い、開催は中止)。
これに倣うように、「ビリビリ」も毎年様々なオフラインイベントを企画・実施しています。
代表的なのが「Bilibili Macro Link」(BML)と「Bilibili World」(BW)です。
BMLは毎年7月頃、BWは秋~冬に開催されるイベントで、日本を含む海外の著名人・声優・歌手がゲストとして登場。
音楽ライブやエンターテイメントが披露されます。
2019年10月は上海で開催
開催地はその年によって異なり、「ビリビリ」本社がある上海、首都の北京のほか、広州や西安でも実績がアリ。
過去には日本の山田孝之、大黒摩季、高橋洋子など豪華キャストがトークショーやパフォーマンスを行いました。
2020年は恐らく中止の可能性が高いですが……将来、押さえておきたいトレンドだと言えます。
実は「ビリビリ」の優位性は動画サイトだけではありません。
日本で大ヒットしているスマホゲーム「Fate/Grand Order」(FGO)の中国国内の独占配信権は「ビリビリ」が持っています。
モバイルゲーム事業「哔哩哔哩游戏」(ビリビリゲーム)も絶好調なんです。
二次元ファンの心を掴みつつアニメ、漫画、映画、ゲームとメディアミックスしていくビジネスモデルが大きな強みとなり、中国のサブカルチャー文化を象徴するプラットフォームになりました。
「ビリビリ」をチェックしておくと、中国のトレンドが見えてきますよ。