2020年9月25日、新型コロナウイルスが落ち着かない中、中国から日本へと帰国を果たしました。
日本→中国の渡航・隔離情報は頻繁に見られますが、その逆は少なめ。
というわけで、
- 日本へ帰国時の空港での手続きや水際対策状況を知りたい
- 成田空港に到着~入国までどれくらい時間がかかるのか
の2点に焦点を当て、実体験を元に情報を整理してみました。
本記事では時間軸に沿って、今回の渡航記録をメモっていきます。
中国から日本への帰国レポート①:大連から成田到着まで
1-1. 中国を出国-大連周水子国際空港の様子
搭乗するのは日本航空のJAL820便、13:00発の成田行き。
当日は出国手続きにどれだけ時間を要するか不明だったので、9:30に大連の空港に到着しました。
①出発ゲート前
どこの施設も同じですが、空港内に入るためには健康状態の証明が必要。
入口に貼り出されたQRコードをスマホで読み込み、画面に表示された「健康通行コード」を提示して中に入ります。
残念ながら、時間的に早すぎたよう。
国際線の出発エリアはまだ開いていませんでした。
係員によると、10:45にチェックインが開始になるとのこと。
暫し待ちです……。
というわけで、この間に「出入国健康申告書」(出/入境健康申明书)を記入しておきます。
これが無いと、出発エリアへ入ることができません。
特に難しい項目は無く、5分ほどで完成しました。
手持ち無沙汰となってしまいましたが……このまま列に並んで開場を待ちます。
ちなみに大連周水子国際空港は小さく、ターミナルは1つのみ。
国内線は各都市へのフライトが通常営業しており、チェックインカウンターは混雑しています。
一方、この日の国際線は成田行きしかなく、閑散としていました。
②チェックイン
出発ゲートが開いたので、順番に入場します。
ここではパスポートと「出/入境健康申告書」を提出。
X線による手荷物検査も行われました。
問題なく次のステップへ進みます。
29~32番がJALのチェックカウンター。
早めに到着した甲斐もあり、ほぼ並ぶことなく搭乗手続きを開始できました。
日本人のボクはパスポートを、妻(中国人)はパスポートとPCR陰性証明を提示します。
なお、日本へ行く外国人はPCR検査の陰性証明が必要となります。
これが無いと、航空券を発行してくれません。
(実際、この数日前にこれが理由でボクたちも搭乗できず……詳細は後述)
次にスーツケース大を2個と小1個を預けます。
重量的には…合計で60kg、規定範囲内。
また妻は妊娠中(7ヶ月)であったため、座席は優遇してもらいました。
今回はテキパキした処理で、問題なし。
無事に航空券を受け取れました。
おこぼれ話
実は、本来の帰国日は9月22日。
しかしながら、チェックイン時に妻のPCR陰性証明の不備が発覚します。
日本が指定したフォーマットに沿っておらず、また英語の記載も無かったため、渡航を断られてしまいました。
それ故にやむを得ず再度検査&証明書の入手が必要となり、25日のフライトに振替となったのです。
(陰性証明の有効期間は72時間……初回の検査結果は時間的にアウトでした)
事前の情報収集&準備不足が招いたことですが……その時のショックと言ったら相当のモノ。
新型コロナウイルスにより、渡航が厳しく制限されていることを実感した瞬間でもありました。
そんなこんなを乗り越えて、いよいよ中国を出国へ。
③出国審査
搭乗手続きを終わるや否な、すぐに出国審査のゲートへ。
短い列の後方に並びます。
自分の前のオジサンは検査官に色々と質問されていた様子。
「なぜ日本に行くのか?」
「日本で何をするのか?」
「この時期の理由に渡航する理由は?」
などなど。
通常よりもチェックが厳しめであることは間違いなさそうです。
次はボクの番。
パスポート、航空券、黄色の「出国カード」を提出します。
※外国人は「出国カード」の記入が必要。
日本人のボクには何も聞いてきません。
ものの1分ほどで審査は終わり、あっさりと通過できました。
④搭乗待ち
出国検査を終えたら、次はX線での手荷物&ボディチェックです。
こちらは特記することはありませんね。
搭乗手続きが緊張感のピークだったと思います。
荷物を受け取ったら、搭乗ゲートへ歩いて行きます。
と言っても、この時間のフライトは成田行きのみ。
セキュリティチェックに最も近いゲートがそれでした。
国際線エリアの雰囲気はというと、スペースの半分が封鎖されていて、レストランや免税店も一部しか営業していません。
加えて、この日の搭乗者は20~30人とのこと。
タイミング的にも買い物をする人はおらず、全体的に閑散としています。
比較的こじんまりした大連周水子国際空港ですが、通常以上に寂しさを覚えましたね。
この時はまだ11:30。
搭乗開始まで1時間以上あります。
ボクは小腹を満たすためにSubwayでサンドイッチを購入。
感染予防の観点から店内は利用不可だったため、近くの待機スペースに座って食しました。
ゲートが開くまで時間があったので「質問票」の準備を進めます。
チェックインの際に航空券と一緒に渡された「質問票」。
日本に入国の際に必要となる超重要な資料です。
飛行機が日本に着陸~PCR検査~入国審査の過程で細かく確認されるので、丁寧に記入しました。
1-2. 日本航空(JAL)機内の様子
定刻通り、12:40にアナウンスが流れ、JL0820便への搭乗が開始されました。
①搭乗・着席
ボーイング767の巨大旅客機に搭乗者は30人弱。
焦る理由はありません。
トイレを済ませると、残り数名になった段階でゲートへ移動します。
まずはアルコールで手・腕を消毒。
次に体温測定です(たしか35.5℃)。
スタッフは白い防備で全身を覆っていて、ここでも感染対策は万全でした。
パスポートで身分を確認し、航空券をもぎったら、ボーディング・ブリッジを通って機内へと足を踏み入れます。
②機内の搭乗率
機内はガラガラです。
一列の両窓際に1組ずつ。
中央のシートには搭乗者はいません。
(のちに希望者のみ移動したっぽいですが)
自分の前後の列は全て空席となっていて、完璧なソーシャルディスタンスが保たれています。
ファーストクラスに乗客はいなかったぽく、全体の搭乗率は10%くらいかなと感じました。
妻は妊娠中であったため、ボクたちはプレミアム・エコノミーを利用。
(それも通常価格で。こんな待遇が日本航空の良いところでしょう)
すでに広々としたスペースではありますが、周囲に他の客がいないこともあり、快適な空の旅を過ごせました。
③注意点
当然のことながら、全員マスク着用は必須です。
拒否する人はいませんね。
その他、フェースマスクを付けた乗客は4人、完全防備は5人と覚悟を決めっている人も少なくありません。
そんな感じなので、再び緊張感が高まります。
座席などの消毒は搭乗前に施されていて、清潔な環境で保たれています。
また機内では10分に一度、空気の入れ替えを行っているとも。
と言っても、やはり着席中は基本マスクを付けないといけません。
成田まで約3時間。
人によっては息苦しさを感じてしまうかも。
適宜水分を補給して、いつも以上に体調管理に気を配った方が良いと思いました。
④離陸&機内食
各種アナウンスが終わり、13:00に大連を飛び立ちました。
外の景色を眺めつつ、暫し中国での思い出を回想しようかな……というのも束の間。
フライトが安定するや否や、すぐにドリンクと食事が運ばれてきました。
この時期、あらゆる予防対策を実施しています。
客室乗務員と乗客の接触を極力さけるのもその一環。
交差感染を防ぐために、また衛生面も考慮して今回ののものでした。
ボックスに詰められたのは抹茶パン、クラッカー、あられミックス、乾燥納豆とリンゴジュース。
日本的な蕎麦も、煮物も、果物は今回なし。
ハーゲンダッツもお預けです。
やむを得ないと納得しつつも、残念な気持ちになりましたね。
ミネラルウォーター、ジュース、ビールは通常通りに提供しています。
またフライト中は映画やドラマなども普通に楽しめます。
機内はとても静かで時間の経過を感じないほどでした。
つまみと一緒にビールを流し込んだボクは、成田に着くまでひと眠りしたのです。
1-3.成田国際空港に到着
16:40に成田空港に着陸。
ゆっくりと滑走路を迂回して、第2ターミナルへと飛行機が横付けされました。
①着陸&機内待機
予定では16:55だったので、定刻より15分早かったことになります。
しかしながら、事前の情報通り、すぐに降機することはできません。
シートベルト着用のサインが消え、みんな手荷物を整理し始めるも、合図が出るまで自席で待機します。
窓から覗く空は曇っていて、雨模様
そんな天気も連鎖して、不安と緊張で気持ちは沈みがち。
日本に帰国したという実感はまだありません。
②健康状況申告
前述の「質問票」を客室乗務員が一通りチェックします。
ただし、ここでは所持の有無のみで、詳細までは確認しません。
と同時に体温チェックと健康状態のヒアリングも行われました。
体調的には問題なし。
気持ち良いフライトだったので、良い状態をキープできましたね。
あとは税関用の縦長のシート(名前を忘れました)も手渡されました。
こちらも予め記入を終えておきます。
ともあれ、暫し待ちです。
③降機
17:00頃、ターミナルの移動が許可されました。
およそ20分の待ち時間。
まずは身体が不自由な方が優先で。
続いて、ボクたちも出口へと歩みます。
ボーディング・ブリッジを抜け、到着ゲートが見えてきました。
全員が揃ったのち、スタッフの誘導に沿って、奥へと進んでいきます。
とりあえず、第一関門突破といった感じです。
中国から日本への帰国レポート②:空港での手続き&水際対策
空港に内に入っただけでは正式な入国とはみなされません。
ここからがいよいよ本番、といった状況です。
2-1. 第一待機所(PCR検査準備)
到着ゲートから歩くこと5分。
広い待機スペースへ案内されました。
1列に4つのパイプ椅子。
これが何十列にも設置されています。
先頭から順に席に座ると、「質問票」のチェックが始まりました。
スタッフが入念に細かく確認していきます。
- 氏名/国籍/生年月日/パスポート情報
- 日本での住所/連絡先
- 渡航前の健康状況
- 14日間の滞在先
などなど。
漏れがあると、次の工程に進めません。
一部の中国人は記入方法が分からず、周囲の人に聞きながら完成させていました。
ここでも空気は重め。
心配がピークに達している感もありました。
2-2. PCR検査
時計の針は17:20。
全員の「質問票」の見回りが終わった後、いよいよPCR検査の実施です。
4人1組となり、検査室へと移動します。
ここから先は撮影禁止。
声を発する人は誰もいません。
検査受付にて「質問票」を提示し、自分のバーコードが貼られました。
そして、同じバーコードが付いた検査キットを受け取って、個別ブースに向かいます。
空港では唾液をサンプリングに用いた検査が行われました。
中には唾液の抽出に慣れていない方もいるのでしょう。
ブースの壁には梅干しやレモンの写真が飾られています。
酸っぱい場面を想像しながら、精一杯の唾液検査です。
ボクは1分もかからずに唾液を取り出し、検査キット(プラスチック製のロートと試験管)へ注入。
係りの人に提出して、難なく検査を終えました。
2-3. 第二待機所(レクチャー&結果待ち)
検査エリアから次の場所まで約400m。
誰もいない空港をひたすら歩きます。
別ルートとなりますが、飛行機から降機→検査→第二待機場所まで大きくUターンを描いていました。
おそらく、検査の場所は空港の入国審査から最も遠い搭乗ゲートの付近にあったと思われます。
第二待機所に到着すると、まずは隔離中のレクチャーを受けます。
ここからは家族単位での行動が認められました。
スタッフが自分、そして妻の「質問票」を赤ペンでチェックを入れながら、漏れが無いか確認。
- 保健所との連絡先の確認
- 空港から自宅までの移動方法
- LINEの有無
- 14日間の行動制限Q&A
かなり深いところまで話を聞くことができます。
まだ日本の携帯番号が無いため、自宅の連絡先を伝えます(「質問票」通り)。
自宅までは友人の車で移動しますが、友人の名前や連絡先は聞かれませんでした。
所持しているスマホには中国版のLINEが入っています。
ですが、連絡ツールとしてはNG。
原則、日本の携帯番号でアカウント連携されるLINEのみ有効だと言われました。
なので、結局は自宅の電話のみが唯一の連絡手段に。
それでも問題ないとのことで落ち着きました。
レクチャー兼ヒアリングは10分で終了。
あとは検査の結果を待つのみです。
第二待機場所は↓。
はるか遠くまでパイプ椅子が並べられていました。
他国からのフライトが重なる際には、多くの搭乗者で埋まることでしょう。
その日は1時間で結果が分かるとのこと。
以前は6時間越えもあったようで、だいぶ改善されたのだと思います。
さて指定された番号に座り、スマホいじり開始。
他にすることはありませんので。
食事を摂る手段もなく、ひたすら待ち続けました。
ちなみにペットボトルの水は無料で入手可能です。
2-4. 結果判明&入国審査
9月25日18:25、結果が判明しました。
ボク&妻共に陰性です。
まぁ、中国でも検査は受けているので、心配しませんでしたが。
係りの人に名前を告げ、陰性証明の紙を受け取ります。
そして、奥のブースへと進み、長テーブルにて「質問票」の最終確認。
記入に問題はなく、そのまま提出する形となりました。
これで検査完了。
空港内を更に移動して、ようやく入国審査に辿り着きました。
ここからはトントン拍子で事が運びます。
日本人であれば、パスポートを見せて顔認証&スタンプを押してもらい、入国完了。
外国人の場合は顔認証と指紋登録を経て、パスポートや現地での陰性証明を提示すれば、基本的に問題ありません。
(中国で発行された陰性証明は入国審査時に回収されます)
時間にして5分程度でしょう。
中国から日本への帰国レポート③:日本へ入国&成田空港の雰囲気
PCR検査の結果が出てしまえば、あとは通常の入国審査とは大差はありません。
この時点で、成田に着陸してからちょうど2時間となります。
3-1. 在留カード取得&入国完了
ボクらのケースですが、妻は新規で「日本人等の配偶者ビザ」を取得したため、在留カードの手続きを行いました。
と言っても、何か書類を記入したりすることはありません。
入国審査後、専用の待合室で待つこと10分。
無事に在留カードが発行されます。
あとはベルトコンベアーで荷物を受け取り、税関へ申告書を提出。
2人揃っての入国を果たすことができました。
なお、陰性証明の赤い紙は回収されることはなく、自宅まで持って帰れます。
何かの時に役に立つかもしれませんね。
3-2. 成田空港の雰囲気
自動ドアが開き、成田国際空港・第2ターミナル1階の到着ロビーへ。
そこには出迎えの人だかりはなく、スタッフ以外は誰もいません。
とても静かでしたね。
いつもの雰囲気とは全く異なっています。
やはり帰国感は味わえません。
この後は特に行動監視やチェックは入らず、自由に動き回ることができました。
拍子抜けで、少し緩いかなとも感じます。
さて、友人が到着するまで50分ほど。
空腹を満たすため、荷物のカートを押しながら2階へと上がります。
この時間で空いている飲食店は吉野家のみ。
帰国後の初メニューは牛肉カレーでした。
店内は結構込み合っていましたが、客と客との間隔は広め。
会計時のレジにはビニールに仕切りがあって、店員との接触リスクも抑えてあります。
また2階の待合スペースを利用している人も少なく、シンミリとしていました。
夕食後は何をするわけでもなく、友人と合流。
車で実家まで送ってもらったのです。
3-3. まとめ
最後は中国出国から日本入国→都内の実家到着までに要した時間を整理します。
16:40 成田着
17:00 空港内へ移動
17:05 質問票チェック&待機
17:30 唾液検査&移動
17:35 レクチャー&ヒアリング
17:40 結果待ち
18:25 結果判明&移動
18:30 入国審査
18:40 在留カード手続き&取得
18:50 荷物受取&入国完了
19:15 吉野家
20:00 友人合流&車で移動
21:15 都内の実家へ到着
これで9年2ヶ月に及ぶ中国での生活は終了。
日本の新たな環境で人生をリスタートします。